加須(かぞ)もそうだが、幸手(さって)も読みにくいね。どこにあるかは埼玉県民にも謎。
 東武伊勢崎線が「東武動物公園駅」で枝分かれし東武日光線となり、一つ目が「杉戸高野台駅」、その次が「幸手駅」。この説明で分かれば、あなたは相当の埼玉通。「権現堂桜」は桜の名所として知られる。

 で、その幸手だが、渡辺邦夫市長(58)が暴行容疑で逮捕(すでに釈放)されたと大騒ぎ。
 これ、市長選がらみじゃないの?

 今年10月27日、任期満了による市長選が予定されている。渡辺市長としては3選目の選挙となるわけだが、前回2期目の選挙は61票という僅差で当選。
 2015年選挙
 渡辺邦夫候補(当選) 9714票
 木村純夫候補(落選) 9653票
 敗れた木村候補は元助役。

 渡辺邦夫市長は、広島の平和祈念式典に幸手市内中学生6人と共に参列し、暴行事件はその夜のこと。深夜一人で飲み屋に出かけ、そこの女性従業員に暴行を働いたとされている。本人は事実無根と否定している。

 ふだんから酒を飲まず、ましてや旅先で飲み屋に行くなど到底ありえない私には、のんべえの気持ちは想像もできないが、本人楽しいんだろうね。地元じゃ顔も知られているし、市長ともなればなかなか一人になれない。よし、今夜はチャンスだ。
 と、思ったかどうか分からないが、時期を考えれば軽率だった。

 「もしや嵌められた?」というのは、ただの妄想なのだが、ここから一つの教訓が導かれる。
 「長」という肩書を持つ人は、少なくともその責にある間は、ストイックでなければならない。禁酒しろとまでは言わないが、抑えたほうがいい。
 いつも人に囲まれ、注目されるから、たまには一人になりたい気持ちになるのも分かるが、一人は危険だ。一人になって解放的な気分に浸れるのは責任のない連中だから出来ることであって、「長」にとって一人というのは最も緊張しなければならない場面である。

 追記(2019年8月21日):渡辺市長は20日、市議会に辞職願を提出し同意され、21日付で辞職。50日内に市長選が行われる。