ちょうどいい機会だから、この際、高校受験生にフランシスコ・ザビエルとイエズス会について教えておこう。
 ローマ教皇が来日中である。ローマ法王とも言う。元の言葉は一緒だから、どっちでもいい。

 何しに日本へ。
 まあ広い意味での布教活動でしょう。
 しかし、あからさまにそう言うわけにもいかないので、広島や長崎といった被爆地を訪問し、核廃絶についてのメッセージを発表する。アジアでこの話をするなら中国や北朝鮮に行ってやらないと。ただ、世界的に有名な人が広島・長崎を訪れてくれるのは歓迎すべきことだ。

 ローマ教皇の来日は32年ぶりだそうだ。まだ高校の先生をやっていて世界史を教えていたんだが、当時のことはほとんど記憶にない。授業で言ったのか、言わなかったのか、思い出せない。

 ローマ教皇というのは、キリスト教の中のカトリック(旧教)の世界における最高位である。キリスト教には大きく二つの流れがあって、一つはカトリック、もう一つがプロテスタント(新教)だ。
 16世紀に、堕落したキリスト教界を改革しようと現れたのが、ルターやカルヴァンであり、その後出現したさまざまな反カトリックの宗派を総称してプロテスタントと呼んでいる。

 プロテスタントの隆盛により劣勢となったカトリックは、新たな信者を求めてアジアに進出する。その中心的な役割を果たしたのがイエズス会であり、その一員として日本にやって来たのがフランシスコ・ザビエルである(1549年)。ヨーロッパの歴史が日本の歴史とつながるわけだ。

 来日中のローマ教皇もイエズス会の出身で、名前もフランシスコ。目的は布教活動。となれば、やはりこのタイミングでザビエルやイエズス会に触れておくべきだろう。

 このブログの読者は学校や塾の先生方が多く、いちいち説明するほどのこともない話であるが、なかには歴史にはそれほど詳しくないという方もいるかもしれないので、念のため書いておいた。