「先生のポイントカードが物議 立て替えで『私的な利益』」。はい、いつものいやらしい見出しのつけ方です。朝日新聞デジタル。
 まあしかし、読まれてナンボの世界だから大目に見よう。

 記事の内容。
 愛知県豊田市教育委員会が10月下旬、先生たちが学校の事務用品を立て替えで買う時、自分のポイントカードにポイントを付けないようにとの文書を市内小中学校長に出した。 
 「先生たちが立て替え払いする際、自分のポイントカードを提示してポイントを付けている」「私的に利益を得ていいのか」との指摘が市教委に寄せられたためだ。
 市教委の調査に対し、学校側は「ポイントカードを示すと、割引になるので使った」などと説明しているという。

 こんな細かいことにいちいち文句をつけて来る人がいることや、それを殊更ニュースとして取り上げる新聞があることに呆れる。
 「私的利益」と言っても100円200円で1ポイントだから、高々数十円。その程度ならいいじゃないか。出張旅費を申請せず、自分の車を使って、下手したら勤務時間外に買い物に出かけているのだ。「私的利益」なんか出るものか。「私的損失」のほうがよほど大きい。

 なのだが、ここはひとつ冷静になって考えてみよう。
 私がこのニュースで気になったのは、この時世に豊田市がルールを作っていなかったことだ。些細なことにいちゃもんを付けて来る人や、それを面白がってニュースにする人は今までもいたし、今後もなくならない。これはもう仕方ないことなのだ。
 それよりも、豊田市が時代に合ったルール作りをしていなかったことの方が驚きだ。

 今どきどこの店に行ったってお得なポイントカードを作りませんかと勧めてくる。クレジットカードを使えば嫌でもポイントが貯まって行く。ネット通販でもポイントは貯まって行く。キャッシュレスでの買い物は当たり前。
 つまり、現金でのお買い物の方がむしろイレギュラーと言ってもいい時代なのに、それを想定したルール作りが出来ていないことが問題なのだ。調べる手段を持たないが、おそらく何らかのルールを設けている市町村や学校は多いはずだ。

 金銭をめぐるトラブルや不正は、金額の多少に関わらず学校から追放しなければならない。
 つまらない疑いを持たれないために、学校としてAmazonや楽天の会員になるとか、学校として各種ポイントカードを作るとか、コーポレートカードを作るとかいうのも一つの方法だ。また、先生が立替をしたり、そもそも現金を扱うという状況を作らない工夫も必要だ。もちろん、これによって新たな管理コストが生じる可能性もあるが、コンプライアンスと危機管理という観点から最低限ルール作りはしておくべきだろう。後は運用の問題である。公正・公平なルール作りと、機能性・合理性に基づいた弾力的な運用の両立を目指していただきたい。