明日、明後日、大学入試センター試験が行われる。ニュースの見出しには「最後の」という言葉が踊る。そう、最後なんだ。ところが、揉めにもめたあげく次に始まる試験の内容がまだ決まっていないというとんでもない事態に陥っているのが、今の状況だ。

 さて、急きょというか改めて検討会議がスタートしたようだが、最初にやって欲しかったのは意見交換ではなく、みんなでセンター試験問題を解くことだ。平均点以下は委員落選。と、そこまでしなくてもいいが、今までの試験のどこに弱点があって、それをどう克服すべきか、という議論が求められているわけだから、試食くらいはしてもらおうじゃないか。想像上のセンター試験をもとに議論をしても名案は浮かぶまい。

 もっとも学識経験者とか有識者と呼ばれるような方々だから、余計なお節介をしなくても、その程度の準備はされていると思うが、念のためだ。

 学識経験者とか有識者ではない私は、明日、明後日のセンター試験を受験生になった気分で解いてみるわけである。毎年のことだ。
 で、結果はどうかと言うと、悲しいことに得点力は確実に低下しているのである。自分が専門としてきた教科なら何とか抵抗できるのが僅かな救いだが、それとてもはや受験指導するほどの力は残っていない。まあ、教壇に立つ機会は二度とないだろうから、それで構わないが、現役の先生方はそうも行かないだろう。明日、明後日のセンター試験はぜひ自宅受験していただきたい。

 焦点になっている一つとして、英語4技能がある。従来の2技能「読む・書く」に、「聞く・話す」を加えようということだが(「聞く」は既に導入されている)、これにより相対的に「読む・書く」の重みが低下し、それらの学習時間は削られる。
 そうすると、基本的な文法すら理解できず、基礎的な単語すら読めず、したがって文献が読めない論文が書けない大学生が今以上に増えるかもしれない。いや、必ずそうなるだろう。大学が目指す教育がそれで達成できるのか。聞いたり話したりはできるが読み書きができない人のことを昔は文盲と呼んだものだが、それでいいのか。

 私は「読み・書き」重視派である。「話す・聞く」はNOVAに任せろ。話せるようにさせたかったら半年くらいの留学を必修にしろ。小学生には徹底的に日本語を教えろ。
 と、古い考えに凝り固まっているので、どうも今の時代、分が悪い。
 そりゃあ「話す・聞く」もできたほうがいいに決まっているが、相対的に「読む・書く」が減るけど、それで大丈夫なんだね、ということも、有識者の先生方にしっかり議論してもらいたいと思うのである。