公立学校の先生方は驚かれるかもしれないが、私はいくつかの私立学校から依頼を受け、すでに来シーズンの学校案内パンフレット制作に取りかかっている。
生徒募集活動の終着点は、1月に試験のある私立なら12月、2月末~3月初めに試験のある公立なら1月ということになる。
そこから逆算して行くと、募集活動の期間は、4月スタートで9~10ヵ月、5月スタートで8~9ヵ月、6月スタートで7~8ヵ月ということになる。
その間に、フェア等への参加、説明会・体験入学等の開催、中学校・塾への訪問といったさまざまな活動を行うわけだが、知名度・認知度に劣る学校ほど、周知に時間がかかるわけだから、早くスタートを切り、活動期間を長く取るべきである。
よく、こんな例え話をする。
強豪チームは予選免除やシードという特権が与えられるので、ゆっくりスタートでいいが、弱小チームは予選リーグから登場しなければならず、さらに、場合によっては敗者復活戦も戦わなければならないので、早くから始め、遅くまで戦うことを覚悟しなければならない。
という話をすると、最初は誰もが有名校に目を向けるので自分達のような無名校には振り向いてもくれない。だから、早い時期に動いても無駄だという答えが返ってくるのだが、こういう考えでは一生無名校のままで終わるだろう。有名校が本格稼働しない序盤戦にこそチャンスがあるのだ。
戦いには武器が必要である。
生徒募集の場合は、ツール(道具)と呼ぶ。
代表的なものは学校案内パンフレットなどの紙媒体であるが、ネットが普及した今日、それらに与えられる役割は変容した。簡単に言うと、そこに全てを盛り込む必要がなくなった。後からホームページやSNSなどで、いくらでも追加情報が発信できるからである。
しかしながら、パンフレットが唯一の媒体であった時代そのままの発想で作ろうとしている学校が多いのは誠に残念なことだ。
パンフレットは最終兵器ではない。むろん最強兵器でもない。いずれその役割は終わるかもしれない。
はっきりしているのは、いつでもどこでもこの一冊さえあればという全能の媒体である必要はなくなったということだ。
役割を明確にすべきである。使う場面を限定すべきである。その上で、そこに盛り込む内容を考えるべきである。
学校案内は最終兵器ではなく、「最初兵器(そんな言葉はないが)」である。極論すれば「名刺代わり」である。
そこから始まって、より深い関係を築いて行く。
「最初兵器」であるから、使われるのはファーストコンタクト(初対面)の場面である。考え方はいろいろだが、ギリギリ9月~10月あたりが使用の限界だろう。それ以後になって「私、こういう者(こういう学校)でございます」では遅すぎる。
新年度4月に完成しているのが望ましい。それでも使用期間は5ヵ月か6ヵ月がいいところだ。
これは以前にも書いたと思うが、新年度になって、新しいお客様(受験生・保護者)に対し、古いパンフレットを配っている学校がある。
賞味期限切れを配ることに抵抗はないのか。廃棄処分寸前のものを配ることを失礼だと思わないのか。一度、受け取る側の気持ちになって考えてほしい。
学校案内は「最初兵器」であるから、第一印象は大事である。その意味でいいものを作ろうという心がけは大事だ。しかし、いいものに拘わるあまり完成をズルズル先延ばしすると、その間、お客様にご不便ご迷惑をかけるだけでなく、戦いの場面に出て行くのが遅れ、それが苦戦の原因となる。
完成の期限をできるだけ早く設定し、その中でできるだけいいものを作ればいい。
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