トラブルに巻き込まれた。お気の毒に。だが、種は自分で蒔いているのだよ。
 昨日のことだ。午後4時の約束。そろそろと思っていると電話が鳴り「トラブルに巻き込まれたので明日にしてもらえないか」。いわゆるドタキャンというやつだ。

 緊急に対応しなければいけない事案が発生した。アポも入っている。時間が迫っている。さあ、どうしよう。
 とにかく電話だ。すると、「明日も暇だから別にいいですよ」。ああ、良かった。こっちはひとまず解決。
 そうかな? 
 目の前のトラブルは収まったかもしれないが、ここでまた一つトラブルの種を蒔いてしまったことに本人気づいているかどうか。

 直前のキャンセルは最悪。せめて数時間前にして欲しいよね。これをやると普通は信用ガタ落ちになる。下手したら取引断絶。つまり、目の前のトラブルを解決するために最悪の手段を取ってしまったのだよ。

 刈り取りながら、新たな種を蒔き続ける。これでは永遠にトラブルから逃れられない。
 トラブルの連鎖を断ち切るには、種は自分で蒔いていることに気づかなければならない。蒔かぬ種は生えぬと言うではないか。

 いや、そうじゃない。相手にも問題がある。
 かもしれないが、まずは己の行動や発言を振り返ってみろ。必ず何かあるはずだ。少なくとも私の経験上はそうだ。

 小学校5年の理科の時間に、発芽と植物の成長というのを習った。
 種は蒔いただけでは発芽しませんよという話だ。水と空気と適温が必要。さらに成長のためにはこれらに加えて日光と肥料が必要。
 思い出しました?

 うっかり種を蒔いてしまっても、水をやらなきゃいいんですよ。発芽してしまっても、肥料をやらなきゃいいんですよ。
 トラブルという忌まわしい果実は、間違いなく、私が育てたものだ。幾度も枯らしてしまう機会はあった。手段はあった。それを見過ごしてしまった自身の愚かさ。

 この年になってまだこんな反省しているとは情けない。