埼玉県の私立高校では個別相談会が佳境に入っている。私立を第一希望と考えている人にとって、ここは思案のしどころであり、慎重に決定を下さなければならない。

 一方、公立を第一志望と考えている人にとっては、いわゆる「滑り止め」(言い方が古い)の決定であり、結果的には行かない可能性の方が高い学校の選択である。昨年の入試で見た場合、公立全日制の受験者は43.531人で、そのうちの85%に当たる37.133人が合格しているから、不合格となって「滑り止め」である私立に回ったと思われる人は15%以内である。

 行かない可能性の高い「滑り止め」の決定のために、膨大な時間とエネルギーを費やすのが埼玉県高校受験生の一般的傾向で、これは大変もったいないことであるから、さっさと決めて、持てるエネルギーと時間は第一希望である公立の選定と、その準備対策に投じるほうが得策である。

 公立第一希望者にとって、私立は所詮第二希望、第三希望ではないか。
 優勝以外は全部負けではないが、金メダルじゃなければ銀も銅も大して変わらんのだから、いつまでも悩んでいるんじゃない。
 
 こう言うと、何だか私立を思いっきり軽視しているように聞こえるかもしれないが、逆だ。私が公立教員をしていた30年前に比べれば、私立の教育内容・レベルは格段に向上している。学費の不安さえなければ、私立を第一希望にした方がいいんじゃないかと思うほどである。だから、第二も第三もない。どっちに行くことになっても大丈夫だ。そういう前提あってのさっさと決めろ、である。
 
 公立第一希望者は、遅くとも11月までに、できれば10月までに「滑り止め」ないし第二、第三希望である私立を決めて、少しでも長い時間を公立対策に当てたほうが、その分合格確率は高まるわけである。

 12月半ば過ぎまで「滑り止め」の選定に時間を費やし、ようやく決まって、さあこれからは公立対策だ、って、入試舐めてんのか。
 もちろん、並行して公立対策をやっているだろうが、気持ちの持ち様ってこともある。どうしても公立と言うなら、一日も早くその対策に専念したほうがいい。