堺市教育委員会は25日、約4年間、給食で余ったパンと牛乳を持ち帰ったとして、市立堺高校定時制の男性教諭(62)を減給3か月(10分の1)の懲戒処分にした。教諭は同日付で依願退職したが、「廃棄するのがもったいないと思った」と話しているという。
 持ち帰ったパンは約1000個、牛乳は4200本で、総額は31万円となった。教諭は全額を市教委に返還した。
 以上、新聞各紙の報道より。

 これ、いちいちニュースにしますかね。という話だが、「みんな大好き、先生の不祥事」というのが今の雰囲気なので、マスコミにとっても閲覧数を稼ぐための格好のネタとなる。

 最初に言っておくが、先生は給食費を払っているからね。タダじゃないよ。
 堺市立高校(定時制)のサイトを見たら、「給食費(パンと牛乳)は無料」と書かれていたが、生徒は無料でも先生は給食費を取られているかもしれない。
 給食(パンと牛乳)は無料←市立堺高校(定時制)サイト
 
 世間の反応としては、「食品ロスが叫ばれている折柄、むしろ良いことをしたんじゃないの」とか、「処分が重すぎるんじゃないの」、「別に誰かに損害与えてるわけじゃないし」というのが多い気がするが、まあ真っ当な考え方だろうね。

 ただ、教育関係者向けのブログとしては、そこで終わらせるわけにも行かない。
 
 ひとまず食品ロス問題はおくとして、当該の先生にはお気の毒だが処分は止むを得ないだろう。ゴミ集積場からモノを勝手に持ち帰ったら、横領罪や窃盗罪に問われる可能性だってあるのだ。どうせ廃棄するものだという理屈はここでは通らない。

 公立高校教諭時代の話だが、上司(教頭)から法律や規則について叩き込まれた。「学校で行われる行為には、そのすべてに法的根拠がある」というのが、その上司の口癖で、天井の照明を指さしては「これについてはどこに(どの法律)にどう書いてあるか?」、窓を指さしては「これはどう決まっているか?」、と、まあ煩いこと。
 が、調べてみれば、どんなことにも法的根拠があるわけで、法律や規則に当たってみるという習慣が付いたのは有難かった。
 ただし、途中で辞めてしまったので、その成果を発揮する場面はなかった。

 善意だけで行動してはいけない。
 先生という人種(職種かな?)はおおむね善意で出来上がっている。他の職業の人が悪人だということではないが、先生は特に善意に流されやすいので注意が必要だ。規則より善意が優先。
 しかし、法や規則を熟知し、その運用において善意を発揮するならまだしも、法や規則を知らずに善意だけで行動すると、生徒にとっても自身にとっても好ましくない結果を招いてしまう危険性がある。

 今回のケースでは生徒は巻き込まれていないが、法や規則に関する無知が生徒を不幸にしてしまう場合だってある。
 判断を誤らないために、法や規則に精通しておいた方がいい。
 以上が、教育関係者サイドに立った場合の私の感想だ。