少し間が空いてしまったが、範囲削り過ぎでしょうシリーズの数学編だ。標本調査が除外されたのは想定内。三平方の定理はもしかしたらと思ったが、まあギリギリ想定内。だが、これに加え円周角と中心角、相似の考え方を用いた問題まで除外されたのは想定外だった。

 では、令和3年度出題範囲外とされた単元(知識)は、過去にどれくらいの出題実績があったかを見てみよう。
 下の表は、教学館(越谷市)の木下絢一先生作成によるものだ。
 学校選択問題が導入された平成29年度(2017年度)入試以降4年間のまとめだ。
 ここ数年、出題傾向に変化が見られるので、あまり過去に遡らない方がよかろうということで4年間である。
数学出題除外範囲出題実績

◆相似の性質利用の問題は昨年だけ
 まず、除外範囲として「相似な図形のうち、日常生活で相似な図形の性質を利用する場面」とあったが、これに該当する問題は2020年度のみの出題である。過去10年以上遡れば、そのような問題もあったかもしれないが近年では1例しかない。なお、この大問3(1)の問題の通過率は、学力検査で75.7%、学校選択で92.7%であったから、比較的易しい問題だったと言える。

◆標本調査は、ここ2年間だけ
 次に標本調査だが、ここ2年間だけの出題だ。2020年度の通過率を見ると、学力検査(大問1(16))で74.3%、学校選択(大問1(9))で86.4%だった。

 とりあえずここまでをまとめると、除外された「相似の図形のうち、日常生活で相似の性質を利用する場面」と「標本調査」は、最近になって出されるようになった単元(知識)である。また、問題としては取り組み易く、通過率も高い。

◆円周角の出題頻度は高くない
 円周角と中心角であるが、学力検査では2018年度と2019年度、学校選択では2019年度に出題されている。頻度としてはそれほど高くない。
 たとえば2019年度大問4(2)⓶は、円周角の知識を必要とする問題であり、通過率は学力検査で0.3%、学校選択で14.2%であったが、これが円周角の定理が使えなかったためかどうかは分からない。

◆必須だった三平方の定理
 過去4年間、解法プロセスの中で三平方の定理を必要とする問題は、学力検査では2018年度を除く3回、学校選択では4回(=毎年)出題されており、必須知識だったと言える。特に学校選択問題においては、配点の高い問題の中で、三平方の定理を使えるどうかが試されている。

 再びまとめると、「円周角と中心角」と「三平方の定理」については、解法プロセスの中でその知識が求められる問題が、ほぼ毎年のように出題されている。また、それらの問題は配点が高い。

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