本日も昨日に続き「よみうり進学メディア」のための学校取材。行き先は越谷レイクタウンにある叡明高校
 まさか読めない人はいないと思うが、「えいめい」である。

 私は20年以上、年に1回は比叡山延暦寺に参っているので「叡」の字は得意だが、苦手な人のために大きめな文字で紹介しておこう。
 
 叡才・叡智は英才・英知とも書くから、まあそういう意味だと理解してもらおう。

 以前、南浦和にあった小松原高校(男子校)が、共学化し校名を変え、越谷レイクタウンに新校舎を建設し移転した。
 共学化、校名変更、新校舎建設。一つだけでもインパクトがあるのに、これらを一挙に行ったものだから、話題にもなり、当然人気も高まった。
 なお、兄弟校(姉妹か?)の小松原女子高校も、校名を浦和麗明と改め共学化したが、こちらは浦和にとどまった。

◆叡明はヨット部かカヌー部を作ればいいよ
 あれから6年。
 叡明高校は県東部地区および武蔵野線沿線の人気校として定着した。
 教育都市・浦和を離れるのはもったいないと思ったが、次に選んだ町が発展著しい越谷だったのは正解だった。
 越谷市は、さいたま市・川口市・川越市に次いで人口では県下第4位の都市である。特に、同校のある越谷レイクタウンは来るたびに景色が変わっている。
 
 越谷レイクタウンは、UR都市機構が主導する新しい街づくりの結果生まれた人工的な都市だ。武蔵野線を挟んで大規模な調整池があり、これが街の名の由来だ。ヨットやカヌーの練習をしている人を見かけるので、叡明高校はヨット部かカヌー部を作るといいと思う。全国狙える。
 以前、越谷市役所に「湖と水路を使ってボートレースやってもいいか」と叡明高校には何の相談もせず、勝手に交渉に行ったが、「ふざけるな!」と一蹴された。いつか実現してほしい。

◆勝手に叡明のエリア戦略を考えてみる
 この街では、ベビーカーを押す若い人たちの姿をたくさん見かける。10年後には街自体が受験生の供給源となるだろう。
 レイクタウンにはイオンを中心とする日本一(と言われる)ショッピングモールがある。ここも午後になると若い人たちで賑わう。
 女子高校生が電車の中で「今日、レイク寄る?」とか会話していると、「お前ら、出費は小遣いの範囲にしろ」と注意したくなるが、この場合、レイクはレイクタウンのことである。
 街で年寄り(自分含む)ばかり見かける浦和から見ると若さが羨ましい。

 越谷レイクタウン駅を起点とし、武蔵野線を東に向かうと、吉川・吉川美南・新三郷・三郷までが埼玉県で、次は南流山(千葉県)。この間、私立高校はなく、有力な公立高校もない。
 逆に西に向かうと、南越谷・東川口・東浦和となる。東川口は一応浦和学院の玄関口であり、東浦和まで行くと浦和明の星女子や県立の川口北がある。また、南越谷で東武スカイツリーラインに乗り換えれば、私立で獨協埼玉・春日部共栄・昌平といった有力校が現れ、公立でも越谷北、春日部などがある。
 が、浦和・大宮あたりの激戦区に比べればライバルは少ない方だ。

 ということで、叡明高校のエリア戦略としては、越谷レイクタウン駅を中心に、東浦和から三郷までの武蔵野沿線をおさえ、東武沿線では有力公立の少ない草加、あるいは八潮・松伏といった地域を確実におさえるのがいいだろう。武蔵野線・南浦和まで手を伸ばすと浦和麗明と競合してしまう。
 と、以上は私の妄想である。

◆進学強化がこれからの課題
 浦和麗明が進学校路線を歩もうとしているのは明白だ。浦和及びその周辺のニーズを考えれば当然だろう。
 それに対し、叡明はどのような路線を歩もうとしているのか。
 このあたりが、私から見るとやや不明確である。

 同じ学園内で、似たタイプの学校を作っても意味が無いから、それぞれに特徴を出そうというのはいいだろう。
 たとえば佐藤栄学園の埼玉栄・栄東・花咲徳栄・栄北のように。
 ただ、最近の様子を見ると、栄東だけでなく、スポーツ・部活のイメージが強い埼玉栄や花咲徳栄も着実に進学実績を伸ばしている。栄北もジワジワ来ている。
 そう考えると、文武両道はいいけれど、やはり出口の結果は重要で、それがないと長期的な人気は維持できないだろうという結論に達する。

 現在、特選・特進・進学の3コース体制だが、大学進学を考えた場合、まず手を付けるべきは最上位コースの特選だろう。改革は上からやるのがセオリーだ。
 今日の取材で、この春就任した角道俊哉(かくどう・としや)校長は、多様性(ダイバーシティ)をベースにしながら、グローバル教育の推進、英語力強化、探究型教育の深化などに取り組みたいと語っていた。
 はい、そのとおり。
 であれば、それらを特選や特進のカリキュラムに明確に盛り込む必要がある。場合によっては現在の特選の上に、さらなる上位コースを設定することまで考えていいだろう。
 と、以上は私の余計なお節介である。

 最後に。
 これは叡明高校のことではないが、「文武両道を進学実績が出ない言い訳に使うんじゃないよ」と言いたくなる学校が多いのを残念に思っている。

読売中高生新聞