今日は改めて埼玉県公立入試の各校選抜基準を眺めてみた。
 ついつい見逃してしまうのが、冒頭に記されている「選抜の基本方針」である。
 ここには、「学力検査の得点を重視して選抜する」、「学力検査と調査書に大きな差を設けずに選抜する」などと書かれている。
 しかし、言葉として「重視して」などとあっても、重視の度合いがどの程度なのかは、数字で示されないと分からない。

 そこで今日は、「学力検査の得点を重視して」としている学校の、重視の度合いを数字で確かめてみようと思う。

◆第一次選抜の調査書点は335点
 選抜は二段階または三段階に分けて行われる。
 第一段階(第一次選抜)は「学検:調査書」の割合は、「6:4」から「4:6」の間と決まっている。
 したがって「学検重視」なら「6:4」が採用されることになる。
 「6:4」とするためには、学検点は500点(傾斜配点を行う場合を除く)と決まっているから、調査書を335点前後に設定すればいい。

 では、第一次選抜で面接などは行わず、学検500点、調査書335点前後(334、335、336)としている学校はどこか。
 【東】
 春日部・春日部東・越ヶ谷・越谷北・越谷南・草加・不動岡
 【西】
 朝霞西・川越・川越女子・川越南・※坂戸・所沢・所沢北・所沢西・松山・※松山女子・和光国際
 【南】
 上尾・伊奈学園・浦和・浦和北・浦和一女・浦和西・大宮・大宮東・大宮南・川口北・南稜・蕨・川口市立・市立浦和・浦和南・※大宮北
 【北】
 熊谷・熊谷女子・※熊谷西・深谷・※本庄
 
 上記39校は調査書が334点から336点の学校が主だが、※印のついた学校はそれよりも若干多い。
 熊谷西(345)、坂戸(340)、本庄(338)、松山女子(340)、大宮北(350)。

◆第一次選抜で60%を決定
 第一次選抜で決定できるのは定員の60%から80%までである。
 第二次選抜では、調査書点を215点前後まで圧縮し「学検:調査書」を「7:3」とすることができる。
 したがって、「学検重視」を徹底したい学校は、第一次選抜では下限である60%を採用し、第二次選抜に定員枠を残そうとするだろう。

 第一次選抜で60%を決定する学校は次のとおり。 
 【東】
 春日部・越ヶ谷・越谷北・不動岡
 【西】
 川越・川越女子・※坂戸・所沢・所沢北・所沢西・和光国際
 【南】
 浦和・浦和一女・浦和西・大宮・蕨・川口市立・市立浦和・浦和南
 【北】
 熊谷・熊谷女子・※熊谷西
 
 以上22校。
 それ以外は80%としている学校が多い。
 学校選択問題採用校は上記60%校にほぼ含まれる。抜けているのは川口北(第一次選抜70%)、大宮北(同70%)、川越南(同80%)の3校である。
 
◆第二次選抜までで終了 
 第三次選抜では一定以上の得点者を対象に調査書の「特別活動の記録」や「その他の項目」の得点で選抜することもできるが、学検重視校では、第二次選抜までで終了し、第三次選抜は行わない学校がある。
 上記22校のうち、第三次選抜を行わないのは次の13校である(川口市立はスポーツ科学コースのみ第三次選抜を行う)。

 【東】
 越ヶ谷・越谷北
 【西】
 川越・川越女子・※坂戸
 【南】
 浦和・浦和一女・大宮・川口市立・市立浦和
 【北】
 熊谷・熊谷女子・※熊谷西

 以上13校。
 これらが数字的に見て、「学検重視」がより徹底していると考えられる学校だ。

 ほんの僅かだが、第三次選抜に定員を残しているのは次の学校。
 1% 春日部・不動岡
 2% 所沢・所沢北・所沢西・和光国際・浦和西
 3% 蕨
 5% 浦和南
 第三次選抜では、第一次や第二次で一定以上の得点をしていれば、それらは皆同列とみなされ、「特別活動の記録」や「その他の項目」の得点のみで判定される。
 土壇場の大逆転が可能ということだが、360人定員とすれば、その1%は3~4人だからきわめて狭き門だ。

 目新しい発見などあるわけないが、個人的には頭の整理になった。