3月31日、埼玉県公立学校の人事異動(令和4年4月1日付)が発表になった。
 塾の先生方や私立学校の先生方にとっては、特に大きな関心事ではないだろう。
 というか、ほとんど無関係・無関心。

 私も以前は関心があった。
 かつての同僚、先輩・後輩らがどこの学校に異動になったかは気になるものだ。
 だが、先輩や同世代はすでに引退し、教育界にいない。この世にいない人も多い。
 後輩も次々に定年を迎えた。
 だから、新聞紙面を見ても知らない人ばかりだし、向こうも私のことを知らない。
 そういうわけで、私にとってもほぼ無関係な話だ。

 今年は、浦和・熊谷・春日部・熊谷女子・川越女子といった伝統校や、大宮・蕨・所沢北・伊奈学園・川口市立などの校長が定年(60歳)を迎え退職した。
 完全に教育界から離れてしまう人もいるが、近年は再任用という形で別の学校の教頭になったりする人も増えている。

 県立学校では新たに35人が校長となったが、うち女性は3人と少ない。
 小中学校ほどではないが、高校も女性が多い職場だ。
 だが、管理職(校長や教頭)を目指す人は少ない。
 よって県立学校における女性校長の割合は9.8%(実人数で18人)にとどまっている。
 今後の課題だ。

 県立学校における新任校長の平均年齢は55.4歳である(最年少は50歳)。
 40代で管理職登用のための試験を受け、その後主幹教諭となり、教頭を2~3校経験して、ようやく50代半ばにして校長にたどり着く。
 複数校の校長を経験できればいい方で、新任校長になったはいいが、定年まで残り2年などというケースも珍しくない。
 もう少し早く校長に登用し、1校に4年から5年とどまれるようにすれば、腰を据えて改革に取り組めそうだが、それだと後がつかえてしまう。
 難しいところだ。

 私はペーペーの時代(サラリーマンで言う平社員)の時代に辞めてしまったので、人事のしくみなどはよく分からないが、新聞報道によれば、県立学校部長に初めて女性が就任したのが目玉であり、注目人事であるようだ。
 民間だと小さな企業でも部長や課長が何人もいるものだが、教育委員会(教育局)には、部は3つしかない。
 教育総務部、県立学校部、市町村支援部の3つ。
 したがって部長は3人しかいない。
 このうち教員出身者が就任するのが県立学校部長だ。
 上には教育長と副教育長しかいないという極めて高位で責任あるポジションだ。

 その、前任県立学校部長が異動した先が浦和の校長だ。
 なるほど。
 浦和の校長は、県立学校部長よりも上なのか。
 さすが浦高だ。

 県立学校部には7つの課がある。
 入試に深い関係のある高校教育指導課、募集定員などを決める県立学校人事課などだ。
 埼玉県庁が発表する埼玉県幹部職員名簿には、これら7人の課長名もあるから、これまた高位だ。
 今度新しく大宮の校長になったのは前高校教育指導課長であるから、大宮の位置づけも分かろうというものだ。

 ついでだが、前々高校教育指導課長は昨年の人事で川口北の校長に就任した。
 これは珍しいことだ。
 学校には、偏差値や難易度や人気といった世間の評価とは別に「格」のようなものがある。
 具体的に何だと言われても説明はしにくいが、長年のしきたりみたいなもので、学校の歴史も関係している。
 川口北はいい学校だが、慣例に従えば県の幹部職員たる高校教育指導課長の異動先ではない。
 川口市立に人気を奪われ、危うく定員割れをまぬがれた川口北に対し、県教委も危機感を覚え、エース級を投入してきたということだろう。

 とまあ、いろいろな憶測をしながら眺めていると、結構時間がつぶせる。

 県発表の人事異動表はこちら