昨日(5月13日)取材訪問した大宮工業高校についての報告。
1925年(大正14年)創立の伝統校である。
私の古い記憶では、1970年代までは櫛引という所にあった。現在、通信制の大宮中央高校がある場所だ。
学科は4学科構成。
機械科
電子機械科
電気科
建築科
このうち機械科と電気科は、「工業」と名の付く県立高校9校(浦和工業・大宮工業・春日部工業・川口工業・川越工業・久喜工業・熊谷工業・狭山工業・三郷工業技術)すべてにある。
建築科は、東西南北に1校ずつ(春日部工業・川越工業・大宮工業・熊谷工業)。
電子機械科は、大宮工業のほか、児玉白楊・狭山工業・越谷総合技術・新座総合技術・三郷工業技術の5校にある。
令和4年度入試では、4学科すべてで欠員補充を実施する結果となった。
工業分野全般に言えることだが、生徒募集が大きな課題である。
◆先生と生徒は、親方(師匠)と弟子
工業系の学校に行くといつも感じるのは、先生と生徒のいい関係だ。
私の感覚では、先生は技能を持ったベテラン職人で、言ってみれば親方(師匠)のような存在だ。
技術というのは、言葉や記号や数字で表し、それを伝えることができるが、技能は師匠の技を見て、それを訓練と経験で自分のものにする。
言葉による説明もあるが、コツは言葉では伝わらない。
親方(師匠)たる先生はあらゆる技を完璧にやってのけ、弟子たる生徒はそれを凝視し、自分の体に覚え込ませようとする。
先生のようになりたい。
先生と同じようにできるようになりたい。
こんな生徒たちの気持ちがひしひしと伝わってくるのがこの分野の授業で、数学や英語といった知識教科ではなかなか見られない光景だ。
◆生きるための武器を身に付ける
工業科の強みは、生きていくための技術や技能、資格を手に入れて卒業できることである。
普通科から有名大学に進めば学歴という名の武器を手に入れることができる。
まあ、学歴が武器になるかどうかは議論が分かれるところではあるが、素手よりはましだろう。
しかし、この武器にしても、あくまでも難関と呼ばれる大学に進んだ場合のみ手に入れられるかどうかという話である。
専門学科に進んだ場合、ある程度進路が限定されるのは確かだ。
その点、幅広く学ぶ普通科の方がいろいろな進路に対応できそうだ。
だが、これは錯覚である。
もちろん広く深い知識を身につけた場合は、この限りではないが、中途半端な知識では人生を切り開いて行く力にはならない。
その点、専門学科卒業生には、技術・技能や資格がある。
これを武器に己の人生を切り開いて行くことができる。
今の世間の風潮を見れば分かるが、学歴なんてものは後でいかようにも付け足すことができる。
しかし、技術・技能は若い時に身につけるべきで、年を取れば取るほど習得が難しくなる。
手ぶらで卒業し素手で戦うより、武器を手に入れて卒業した方がいいのではないか。
進路に迷っている生徒に対しては、そういうアドバイスの仕方もある。
余談だが冒頭のアイキャッチ画像は大宮工業が誇る最新の工作機械(マシニングセンター)である。
業界最大手の一つヤマザキマザック製。
何十万とか何百万とかではなく、たぶん何千万のレベル。
施設設備を定期的に更新しなければならないのが専門学科の大変なところだ。
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