美術館をめぐる話題を二つ。
 一つ目。 
 「修学旅行中の中学生が美術館の芸術作品を破損 美術館が被害届提出【新潟・十日町市】」(新潟総合テレビ)
 ニュースの概要は次のとおり。
 ●新潟県十日町市で、市内の中学生が修学旅行で訪れた美術館で作品を破損した。
 ●この美術館は越後妻有里山現代美術館MonET内で、破損されたのは2作品である。
 ●うち1点は修復ができない状態である。
 ●美術館側は警察に被害届けを提出した。
 ●同市教委は再発防止策としてリスク管理や事前準備と生徒への事前指導を徹底するとしている。
 なお、報道は本日(6月6日)であるが、発生は4月21日である。

 先生はちゃんと生徒を指導しろよという声も上がりそうだが、事前指導のない修学旅行などあり得ない。
 「修学旅行のしおり」には、注意事項がぎっしり書かれているだろうし、事前の集会で事細かに言ってきかせているはずだ。
 だが、残念ながら、そんなもの読みもしないし、聞きもしないという生徒が少数ながらいる。
 
 市教委は生徒への事前指導を徹底するとしているが、学校としてやるべきことはすでにやっている。
 破損されたのが2点、そのうち1点は修復不可能ということだから、ついうっかりのレベルではないだろう。
 だとしたら、そういう生徒は、美術館でなければ、宿泊先など他のところで何かしでかすことになる。
 よって残る選択肢は、そういう生徒を連れて行かないか、旅行そのものをやめるかのどちらかだろう。

 二つ目の話題。
 昨日(5日)、金沢市にある国立工芸館を訪れた。
 
 開催中の「未来へつなぐ陶芸―伝統工芸のチカラ展」を見るためだ。
 歴代人間国宝の名品から新進作家の最新作まで139点が展示されている。

 お目当ては神農巌(しんのう・いわお)氏の作品。
 氏の作品については昨年9月、「日本橋三越・神農巌展」を見に行っている。
 下世話な話だが、氏の作品を購入するには何百万円も必要で、私には到底無理だ。
 が、一作品仕上げるのに半年とか一年かかると聞けば、そうだよなと納得するしかない。

 入館する前に、写真NGと書いてある作品以外は撮影OKと言われた。
 ガラスケースに入っている作品と、そうでない作品があった。
 保護されていない作品の場合、2~30センチ手前の床に、これ以上近寄ってはダメよの目印にラインテープが貼られていた。
 手を伸ばせば触れる距離だが、さすがにそれはNGだ。
 だが、ちょっとでも近くで見ようと思うと、ついラインを踏んでしまう。
 そうすると、すぐさま係員が寄ってくる。
 「もう少しお下がりください」と注意される。

 どうぞ手に触れてくださいとでも書いていない限り、触らないのが常識だが、中学生には通用しないか。

 美術館や資料館の類は中学生にとってハードルが高そうだが、先生としては本物に接する機会を作りたい。
 中には触発される生徒もいるのだ。
 今回のような一件で、芸術作品鑑賞の機会が奪われないことを祈る。