茨城県教育委員会は何を考えているのだろう。
 まず、このニュース。

 「茨城県が校長を10名公募、4年連続「教員免許・教職経験不問」で人材採用する訳 インド出身の元区議会議員や電通マンが活躍」(9月18日、東洋経済education × ICT)

 少し前には、こんなニュースも。
 「茨城県教委 民間人校長3人採用 新年度、副校長で赴任」(2022年3月26日、茨城新聞)

 これら記事によると、茨城県における県立学校の校長公募は今年で4回目になるという。
 2019年度 3人採用。
 2020年度 公募するも採用に至らず。
 2021年度 3人採用。

 2021年度採用(22年度着任)の3人。
 ●プラニク・ヨゲンドラ氏(45歳)
 インド出身、元区議会議員
 土浦第一高等学校・附属中学校

 ●御厩祐司氏(52歳)
 元文部科学省
 水戸第一高校・附属中学校

 ●福田崇氏(50歳)
 電通クリエイティブディレクター(出向)
 水海道第一高校・附属中学校

 茨城県は県立学校の中高一貫化(中等教育学校含む)を積極的に進めている。
 トップ校である土浦第一、水戸第一を含め22年度までに13校を中高一貫校化し、公立の中高一貫校数で全国1位となっている。
 また、23年度からは新たに「つくばサイエンス高校」(現・つくば工科高校)「IT未来高校」(現・友部高校)を開校する。

 なお、茨城県の一連の高校改革については、ここに示されている。
 「県立高等学校改革プラン」

◆素人だからいい
 他県のことであるし、直接取材したわけでもないので、以下は個人的推測(いや、むしろ憶測)である。

 現職の高校管理職及び教員の皆さんは、「経験のない素人に何ができるのか」と、お思いだろう。
 私も同感だ。
 
 民間企業でミドルマネジメントを経験してきたかもしれないが、学校の先生はある種「職人気質」を持った専門家集団であるから、専門知識や経験が皆無では御し難い部分がある。
 利益極大化を行動原理とする企業的発想を持ち出されても、こっちは非営利なのだ。
 「企業では~」などと言おうものなら、「学校はそうではない」とすぐに反論されるだろう。

 そこを分かっていながら、何故素人を大量採用するのか。
 素人の方が好都合だからである。

 一連の高校改革を、一気に進めるには、なまじ過去の経験などない方がいい。
 人間関係のしがらみがないほうがいい。
 素人さん大歓迎。
 そういう募集なのだ。

 念のため募集要項を見てみた。
 「令和5年度採用 茨城県立高等学校等 校長選考試験 実施要項」 
 
 任用形態は「特定任期付職員(4年間)として採用。1年目は原則として副校長、2年目から校長に登用」とある。
 中高一貫化を含む県立高校改革を、県教委と組んで4年間で一気に前進させる。
 これが民間人校長に課せられたミッションだ。

 本職の教員にだって出来ることだが、知識や経験がある分、慎重になりがちで時間がかかりそうだ。
 プロに失敗は許されないのだ。
 その点、素人はいい。
 仮に失敗したところで、「やっぱり素人には無理だったね」で済む。
 であれば、ここは素人の突破力に賭けよう。
 と、そんなことではあるまいかと考えている。

 参考までに、募集要項に示された「求める人物像」は次のとおりだ。
 1 優れたリーダーシップと組織マネジメント能力を有する者
 2 過去の事例にとらわれない柔軟な発想力と企画力を有する者
 3 社会の変化への対応力と先見性を有する者
 4 地域の教育資源を取り込んだネットワークづくりの推進力を有する者
 5 学校現場の課題を解決できる実行力を有する者
 別に民間に求めなくても、目の前にいくらでもいるね。

 途中で気づいたのだが、このテーマ、1年前のブログにも書いていた。
 近頃、どうも忘れっぽくて困る。
 「茨城県教委が民間人校長募集、その成功の条件を考えてみる」(2021年11月5日)