先月(3月)のニュースになるが、東京都教育委員会が読書に関する調査結果を発表した。
 
「令和4年度 子供読書活動推進に関する調査の集計結果について」である。

 上記は概要版であり、詳細データはこちらにある。
「読書状況調査集計結果」

 お忙しい皆さんは、とりあえず概要版をご覧になるといいだろう。
 その時間も無い方には、以下要点をまとめたので、これで済ましてもらってもいい。

【調査について】
●調査は原則隔年で実施している
 (前回は令和元年で3年前となる。コロナの影響だろう)
●実施時期は令和4年9月上旬~中旬
●対象は都内公立学校の小中高校生である
●小2、小5、中2、高2を対象としている
●高2が全数調査、他は5%の抽出
●電子書籍も「本」に含む
●漫画、雑誌、写真集、絵本(絵だけ)などは「本」に含まない

【調査の結果】
●不読率=1か月間に本を読んでいない割合
 小2  4.4%(前回 2.9%)
 小5  5.1%(前回 4.2%)
 中2 10.3%(前回 9.9%)
 高2 33.4%(前回30.6%)

●本を読まなかった理由(複数回答)
 本を読むことに興味がないから 41.1%
 読みたい本がなかったから   39.5%
 本を読む時間がなかったから  33.9%
 文章を読むこと、字を見ることがきらいだから、めんどうだから
                16.8% 

◆年齢と共に増加はやむを得ないが
 不読率が年齢と共に増加するのはある程度やむを得ないだろう。
 勉強が忙しくなる
 塾に行くようになる
 他の習い事も増える
 部活や行事に割く時間が多くなる
 友だちと過ごす時間が多くなる
 ゲームなどに興味が移る

 など、いろいろあって相対的に読書に当てる時間が少なくなる。
 その点で年齢と共に不読率が高まるのは、そうかもしれないと思う。

 ただ、読まない理由として「読む時間がなかったから」はいいとしても、「興味がない」「読みたい本がない」が多いのは問題だ。この点については一定程度学校の指導上の問題もあると考えるべきだろう。
 このまま放置しておくと、大学生のうちはまだいいとしても、社会人になったら全く本を読まない人間が出来上がるだろう。

◆趣味や教養としての読書
 何かの目的があって本を読むのはよくあることで、この指導はさほど難しくない。
 近年は授業でもレポート、論文、プレゼンテーションなどが取り入れられている。
 したがって、そのために本を読み、調べることは習慣として身につきやすい。

 このような実利目的の読書に対し、もう一つ、趣味や教養としての読書というものがある。
 このもう一つの目的を子供たちにいかにして伝えるか。
 
 これが伝わっていない証拠に子供たちは、「興味がない」「読みたい本がない」と言っているのである。

 先生方に問う。
 この1か月に自分が読んだ本について子供たちに語ったことがあるか。
 感動を伝えたことがあるか。

 子供たちの現状を憂える前に、先生方含め我々大人が趣味人であり教養人であるかを問おうではないか。