電話対応と窓口対応について書こうと思うが、その前に別の話題を一つ。
 学校内にある案内板の「事務室→」というのはどうなんだろうという話だ。
 こういう学校が少なからず存在する。

◆学校の常識が通じるか
 「事務室→」というのは、「受付→」という意味で表示しているのだろう。
 事務室が受付業務を行っているのは、いわば学校の常識である。
 だから、訪問者が教育関係者であれば迷わず事務室に向かうだろう。
 いきなり職員室や応接室に向かおうとする人はいないわけだ。

 だが、学校の内情に疎い人が訪れる場合もある。
 できればここは「受付」とか「来校者受付」としておいたほうが親切ではないかと前々から思っている。

◆受付は誰の仕事か
 以下、高校を前提に話を進める。
 事務室は、正門にもっとも近いところにあるのが普通だ。
 最初に言ったように、本来の事務仕事のほかに、受付業務も担当しているからだ。

 事務室には事務長(事務局長)を筆頭に4~5名の事務職員がいる。
 いろんな仕事をやっている。
 会社で言う総務部とか経理部に当たる業務を担当していると考えてもらえばいい。
 教員だけでは学校は回らないのだ。

 公立中学校に行くと、事務室に当たる専用の部屋がなかったり、専任職員が非常に少なかったりするケースが見られる。
 事務スタッフを増強すれば先生方の負担はずいぶん軽減されるのではないかといつも思っている。

 で、受付業務の話に戻るが、これは一体誰の仕事なのか。
 このあたりがよく分からない。
 長いこと学校という職場にいたくせに、それを知らないとは恥ずかしい。

 外からのお客さんにまず対応するのは事務だよね。
 外からの電話にまず対応するのは事務だよね。
 と、何の疑問も持たずに来た。

 やはり、これは明確に位置付けたほうがいい。
 基本、事務職員全員で当たることになるだろうが、電話対応や窓口受付は学校にとってきわめて重要な業務だ。
 もちろん、ここで重要と言っているのは、私が生徒募集や広報に関わる仕事をしているからだ。
 事務室の業務全体から見れば、さほど重要度は高くないだろう。

 先生方が授業以外の事務仕事を雑務と呼んだりするが、文書管理や経理・会計を主たる業務とする事務職員からすれば、電話対応や窓口対応は雑務に分類されても仕方がない。

◆第一印象は事務室の対応で決まる
 受験生・保護者などが最初に接触するのは事務職員である。
 時間内であれば最初に電話に出るのは事務職員である。
 訪問した場合、最初に接触するのは事務職員である。

 余談だが、学校に電話した時、出るのは先生だと思っている人が少なくない。
 学校は先生だけで回っていると思っている人は意外に多いということだ。

 この時点では「学校=最初に対応した事務職員」である。
 いろんな人がいろんな電話をかけてきて、それを本業たる事務仕事を中断して対応するのであるから面倒なこととは思うが、代表電話に学校を代表して出るのであるから、ぜひそのような意識を持って対応していただきたい。

 もう一つ余談だが、私立学校の中には、全員の机が窓口側を向いている学校がある。
 窓口に一番近い人が最初に立ってお客様対応に当たるのだが、電話中その他で対応できない時は、第2列目が当たる。それもダメなら3列目。
 どうもみんな無理なようだとなったら、最後列に位置する事務長が腰を上げる。
 事務室の構造上、こうした配置ができない場合もあるが、一つの考え方である。 

◆防御の第一線
 まず学校の代表電話にかける。
 事務「はい、●●高校でございます」
 ま、これは当然のこと。

 中には、「はい、●●高校でございます。事務局担当の○○が承ります」
 と、部署や名前を名乗る人もいる。
 このあたりは、どっちでもいいと思う。
 ただ、伝言を頼んだ場合などは、名乗ってくれた方が安心できる。
 重要なのは、迅速かつ正確に担当の先生につないでくれることだ。

 電話をかけた方は、当然ながら社名と氏名を名乗る。
 そして、「●●先生をお願いします」と伝える。
 ちなみに私の場合だと、かける相手は校長か教頭がほとんどだ。

 すると、「どのようなご用件ですか」と尋ねられることがある。
 ここは結構大事なところだ。

 もしも私がクレーマーだったら。
 (その素質が十分あるのは本ブログ読者ならお気づきだろう)
 そう、やすやすとトップにつないではいけないのだ。

 民間企業だったら、社長とか店長とか、組織や部署のトップにいきなりつなぐことはない。
 「責任者出せ」と言ってきたら、居たとしても居ないと言うべきなのだ。
 私も会社に「社長はいらっしゃいますか」とかかってきた電話に、自分で出ておきながら「外出中です「と答えることは年中ある。

 学校の印象が決まるから、「いい感じで」というのも大事だが、組織防御の第一線ということも忘れてはならないのだ。
 なかなか難しく、ついでに出来る仕事ではない。