過去データに基づき、令和6年度埼玉県公立高校入試の最終倍率を予測しようという試みである。
その年その年で受験生の動きは異なるので、予測通りになることもあれば、大きくはずれる場合もある。
参考程度に見てもらおう。
使用したデータは、過去5年分の第2回希望調査における倍率と、確定倍率(志願先変更後の倍率)である。
第2回希望調査における倍率と、確定倍率(志願先変更後の倍率)を比較してみると、大きく上がる(下がる)学校もあれば、あまり変化がない学校もある。
なお予想倍率は、過去5年間の平均変化率から算出した。
今回は学校選択問題採用校(22校)について見て行く。
以下、地域ごと。
【東部地区】
数字は左側が第2回希望調査の倍率、右側が確定倍率である。カッコ内は増減。
●春日部
31年度 1.16→1.36(+0.20)
02年度 1.16→1.34(+0.18)
03年度 0.99→1.28(+0.29)
04年度 1.05→1.26(+0.21)
05年度 1.08→1.31(+0.23)
06年度 1.25→1.47(予想)
昨年の予想値は1.30、実際は1.31。
例年、隣接県協定に基づく県外受験生の出願により上昇がみられる。
ただ今年は1.25という比較的高めのスタートなので回避する動きもみられそうだ。
1.47までは行かず1.30台の後半から1.40台の前半といったところか。
●越ヶ谷
31年度 2.02→1.56(-0.46)
02年度 1.78→1.34(-0.44)
03年度 1.72→1.36(-0.36)
04年度 1.61→1.37(-0.24)
05年度 1.75→1.43(-0.32)
06年度 1.72→1.36(予想)
昨年の予想値は1.38、実際は1.43。
「高くても1.45倍までだろう」と予想したが、実際は予想上限に近い1.43だった。思ったほど下がらなかったということだ。
予想値1.36としたが、昨年の例から1.40台前半にとどまる可能性もある。
●越谷北
31年度 1.22→1.06(-0.16)
02年度 1.10→1.12(+0.02)
03年度 1.46→1.36(-0.10)
04年度 1.58→1.45(-0.13)
05年度 1.26→1.17(-0.09)
06年度 1.25→1.16(予想)
昨年の予想値は1.17、実際も1.17。
実際の出願に向けて下がるケースが多いが、今年も昨年とほぼ同じ1.25からのスタートなので、それほど大きくは下がらないだろう。
わずかだが上がる可能性も捨てきれない。
●不動岡
31年度 1.44→1.33(-0.11)
02年度 1.33→1.22(-0.11)
03年度 1.36→1.32(-0.04)
04年度 1.20→1.23(+0.03)
05年度 1.30→1.30(±0)
06年度 1.30→1.24(予想)
昨年の予想値は1.24、実際は1.30。
令和4年度のみ確定倍率の方が高いが、外国語科を募集停止し普通科定員を320人定員から360人定員に増やした年である。
予想値1.24としたが、昨年同様1.30前後に落ち着きそうだ。
【西部地区】
●川越
31年度 1.45→1.40(-0.05)
02年度 1.45→1.45(±0)
03年度 1.40→1.36(-0.04)
04年度 1.46→1.45(-0.01)
05年度 1.40→1.40(±0)
06年度 1.55→1.52(予想)
昨年の予想値は1.38、実際は1.40。
第2回調査から実際の出願にかけての変動が少ない学校である。
予想値1.52としたが、第2回調査の倍率が例年より高いことから回避の動きが出ることも考えられ、1.50を割る可能性がある。
●川越女子
31年度 1.54→1.49(-0.05)
02年度 1.40→1.39(-0.01)
03年度 1.35→1.29(-0.06)
04年度 1.34→1.35(+0.01)
05年度 1.31→1.36(+0.05)
06年度 1.26→1.25(予想)
昨年の予想値は1.28、実際は1.36。
昨年「大きくは下がらないだろう。逆に1.35倍近くまで上がる可能性もある」としたが、それさえも上回る上昇だった。
データに基づく予想値は1.25だが、昨年同様1.30台まで上がる可能性もある。
第2回調査時点の倍率が年を追って低下しているのが気になる。
●川越南
31年度 1.69→1.44(-0.25)
02年度 1.68→1.30(-0.38)
03年度 1.99→1.67(-0.32)
04年度 1.76→1.41(-0.35)
05年度 1.71→1.41(-0.30)
06年度 1.62→1.30(予想)
昨年の予想値は1.39、実際は1.41。
予想したほど下がらなかったということだ。
データに基づく予想値は1.30だが、そこまでは下がらず1.35前後ではないか。
●所沢
31年度 1.61→1.49(-0.12)
02年度 1.42→1.22(-0.20)
03年度 1.23→1.23(±0)
04年度 1.44→1.32(-0.12)
05年度 1.56→1.34(-0.22)
06年度 1.67→1.49(予想)
昨年の予想値は1.45、実際は1.34。
昨年「1.4倍台までは下がって来るだろう」としたが、想定した以上に下がった。大きく外れたケースだ。
第2回調査の倍率はここ数年でもっとも高い。データに基づく予想値は1.49だが、昨年の例から、もう少し下がりそうだ。
●所沢北
31年度 1.81→1.55(-0.26)
02年度 1.28→1.11(-0.17)
03年度 1.59→1.43(-0.16)
04年度 1.64→1.43(-0.21)
05年度 1.56→1.31(-0.25)
06年度 1.14→0.93(予想)
昨年の予想値は1.45、実際は1.31。
昨年「1.3倍台まで下がる可能性も捨てきれない」としたが、所沢同様想定した以上に下がった。ここも大きく外れたケースだ。
データに基づく予想値は0.93だが、さすがにこれはないだろう。
過去5年間、平均して0.2ポイント程度下がっているためこのような数字が出てしまう。
所沢北に関しては過去データに基づく予想はできない。
●和光国際
31年度 1.42→1.24(-0.18)
02年度 1.65→1.37(-0.28)
03年度 1.29→1.14(-0.15)
04年度 1.61→1.43(-0.18)
05年度 1.51→1.44(-0.07)
06年度 1.69→1.52(予想)
昨年の予想値は1.31、実際は1.44。
昨年「1.4倍台を維持する可能性もある」としたものの、想定したほど下がらず、大きく外したケースだ。
データに基づく予想値は1.52だが、1.40台まで下がる可能性もある。
【南部地区】
●浦和
31年度 1.51→1.44(-0.07)
02年度 1.54→1.49(-0.05)
03年度 1.30→1.34(+0.04)
04年度 1.37→1.30(-0.07)
05年度 1.53→1.55(+0.02)
06年度 1.33→1.30(予想)
昨年の予想値は1.49、実際は1.55。
昨年「1.40倍台となる可能性が高い」としたものの、完全に外れたケースだ。
データに基づく予想値はやや下がって1.30となっているが、上がるケースも考えておいたほうがいいだろう。
第2回調査から実際の出願にかけての変動は少ない学校であるから、上がるにしても下がるにしても、それほど大きな変動はないだろう。
●浦和一女
31年度 1.21→1.35(+0.14)
02年度 1.40→1.38(-0.02)
03年度 1.41→1.38(-0.03)
04年度 1.38→1.47(+0.09)
05年度 1.28→1.35(+0.07)
06年度 1.32→1.37(予想)
昨年の予想値は1.33、実際は1.35。
過去5年のデータによれば、第2回で1.40以上であればやや下がり、1.20~1.30台であればやや上がる傾向を示している。
今年は第2回調査が1.32なのでやや上がるとみられる。
●浦和西
31年度 2.11→1.68(-0.48)
02年度 1.96→1.55(-0.41)
03年度 1.78→1.38(-0.40)
04年度 1.91→1.56(-0.35)
05年度 1.70→1.45(-0.25)
06年度 1.72→1.34(予想)
昨年の予想値は1.30、実際は1.45。
昨年「1.4倍台は維持するかもしれない」としたものの、大きく外したケースだろう。
本番に向けて、下がり幅の大きい学校である。
データに基づく予想値は1.34だが、1.40台にとどまる可能性もある。
●大宮
31年度 1.66→1.39(-0.27)
02年度 1.56→1.31(-0.25)
03年度 1.76→1.51(-0.25)
04年度 1.71→1.47(-0.24)
05年度 1.72→1.44(-0.28)
06年度 1.70→1.44(予想)
昨年の予想値は1.47、実際は1.44。
本番に向けて、下がり幅は比較的大きい学校である。
過去5年間、本番に向け平均0.25ポイント程度下がっていることから、今年も1.40台と予想される。
●川口北
31年度 1.08→1.29(+0.21)
02年度 1.37→1.39(+0.02)
03年度 0.89→1.05(+0.16)
04年度 1.04→1.27(+0.23)
05年度 1.18→1.28(+0.10)
06年度 1.40→1.63(予想)
昨年の予想値は1.34、実際は1.28。
昨年「1.2倍台には上がるとみられるが1.3倍を超えるかどうかは微妙だ」とした。数字的には開きがあるが、ほぼ想定の範囲内だった。
データに基づく予想値は1.63だが、これはありえないだろう。
過去5年間、平均して0.2ポイント程度上がっているので、このような数字となる。ただ、今回は当てはまりそうもない。やや上がる可能性、やや下がる可能性の両方が残されている。
●蕨
31年度 1.72→1.47(-0.25)
02年度 1.79→1.51(-0.28)
03年度 1.63→1.36(-0.27)
04年度 1.53→1.48(-0.05)
05年度 1.49→1.34(-0.15)
06年度 1.59→1.39(予想)
昨年の予想値は1.28、実際は1.34。
昨年「1.3倍を割る可能性も高い」としており、大きく外したケースだ。
本番に向けて大きく下がる学校だが、ここ2年間は以前ほど大きくは下がっていない。
データに基づく予想値は1.39だが、1.40台にとどまる可能性が高い。
●市立浦和
31年度 2.50→1.91(-0.59)
02年度 2.13→1.58(-0.55)
03年度 2.29→1.90(-0.39)
04年度 2.80→2.13(-0.67)
05年度 2.85→2.20(-0.65)
06年度 2.34→1.77(予想)
昨年の予想値は2.30、実際は2.20。
本番に向けて下がり幅が非常に大きい学校だ。
データに基づく予想値は1.77だが、そこまでは下がらないだろう。
2年続けて2倍超えで本番を迎えたが、今年は2倍を割るかもしれない。
ただし最高倍率であるのは変わらないだろう。
●大宮北
31年度 1.18→1.00(-0.18)
02年度 1.78→1.34(-0.44)
03年度 1.70→1.33(-0.37)
04年度 1.43→1.11(-0.32)
05年度 1.35→1.10(-0.25)
06年度 1.40→1.09(予想)
昨年の予想値は1.02、実際は1.10。
想定したほど下がらず、大きく外したケース。
本番に向けて下がり幅は大きい。
直近2年間の傾向から1.10台と予想される。
●川口市立
31年度 2.37→1.56(-0.81)
02年度 1.86→1.21(-0.65)
03年度 2.42→1.73(-0.69)
04年度 2.53→1.83(-0.70)
05年度 2.69→1.94(-0.75)
06年度 1.71→0.99(予想)
昨年の予想値は1.98、実際は1.94。
本番に向けて下がり幅は大きい学校だ。
データに基づく予想値は0.99だが、これはありえない。過去5年間、本番に向けて平均して0.7ポイント程度下がっているのでこのような数字となる。
1.70台を維持するか、やや下がる程度で高倍率は維持するだろう。
【北部地区】
●熊谷
31年度 1.21→1.25(+0.04)
02年度 1.05→1.08(+0.03)
03年度 0.93→1.03(+0.10)
04年度 1.00→1.10(+0.10)
05年度 1.01→1.13(+0.12)
06年度 0.92→1.00(予想)
昨年の予想値は1.08、実際は1.13。
本番に向けて0.1ポイント程度上がるパターンが続いている。
ぎりぎり1.00を超えるかどうかというところだろう。
●熊谷女子
31年度 1.08→1.16(+0.08)
02年度 1.22→1.18(+0.04)
03年度 0.99→1.13(+0.14)
04年度 1.07→1.08(+0.01)
05年度 1.03→1.13(+0.10)
06年度 0.86→0.93(予想)
昨年の予想値は1.08、実際は1.13。
データに基づく予想値は0.93と厳しい数字だ。
実人数で言えば、あと50人ほど増えないと定員割れとなる。
学校選択問題採用校の中から定員割れ校が出てはまずいだろう。最後まで募集活動に全力を尽くしてもらおう。
●熊谷西
31年度 1.13→1.01(-0.12)
02年度 1.46→1.26(-0.20)
03年度 1.55→1.12(-0.43)
04年度 1.32→1.13(-0.19)
05年度 1.32→1.10(-0.22)
06年度 1.52→1.29(予想)
昨年の予想値は1.09、実際は1.10。
本番に向けて下がるパターンなので、その点は今年も変わらないだろう。直近4年間の本番での最低は昨年の1.10なのでこれを下回ることはないだろう。1.20台にとどまるかどうかだ。
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