私立高校の校長先生とお話ししていると、しばしば教員採用が話題になる。
公立は教育委員会による一括採用であり、学校が独自に採用するわけではないので、採用が話題になることはない。
たまに、異動(転勤のこと)や校内人事が話題になるくらい。
いずれにしても、私の守備範囲外であるから、何か有効な策を提案するのは無理だ。
採用や人事の専門家は世の中にごまんといるから、そういう方に相談してもらおう。
と、断った上で、少しばかり感想めいたことを書く。
◆なぜ人事部がない
教育は人なりと言われる。
生徒が伸びるか否かは先生次第。
学校が伸びるか否かも先生次第。
先生こそ学校の最重要資産だ。
その割に、学校や学校法人に人事部やそれに相当する部署がないのはおかしい。
と、昔から言い続けている。
せめて法人本部に人事・採用のプロを置けないものか。
時々、法人本部で、人事経験があるという元銀行員などと出会うが、本当かよと思う。
人事部が銀行の出世コースにおける王道であるのはよく知られたことだ。
今ごろ役員か頭取になってなきゃおかしいだろう。
銀行に限らず大きな企業では、人事部が日陰の部署なんていうことはありえず、概ね出世コースであることは知っておいたほうがいい。
それに大きな企業の採用というのは、余分に採っておいて、ふるいにかける方式だから、そのまま学校に取り入れるわけには行かない。
◆いとも簡単に辞めて行く若者たち
話が横道にそれたので元に戻す。
今日のポイントはそこではない。
先生は2種類に分けられる。
「ずっと続ける先生」と「途中で辞める先生」
ちなみに私は「途中で辞める(た)先生」。
どちらが好ましいかと言えば、「ずっと続ける先生」。
中には早く辞めて欲しい先生もいると思うが、経験がものを言う世界であるから長く続ける先生が好ましい。
人事制度もそれを元に設計されているだろう。
だが、世の中大きく変わった。
今の若者の就職先選びは、やめることが前提であると聞く。
いい大学を出て、いい会社に入って、これで将来も安泰。
と思いきや、いとも簡単に辞めて行く。
私のような古い世代には考えられないことだが、これからはこちらが当たり前になるかもしれない。
◆「すでに辞めた先生」と「まだ辞めていない先生」
そうなると、採用し雇用する側も新しい発想が求められる。
そこで考えたのは、先生はみんな辞めるという前提に立ち、「すでに辞めた先生」と「まだ辞めていない先生」に二分する考え方だ。
「すでに辞めた先生」と「まだ辞めていない先生」との違いは、時期の違いだけ。
「まだ辞めていない先生」も、ずっと辞めない保証はなく、いつか辞めるかもしれない。
その上で、「まだ辞めていない先生」の待遇を考える。
できるだけ長く続けてもらえるような方策を考える。
裏を返せば、辞めて欲しいのに「まだ辞めていない先生」の処遇を考えるということである。
途中では辞めないでしょう、それが当然でしょう、そういう前提だと、「まだ辞めていない先生」のことに思いが至らない。
しかし、人材の流動性が高まった今、放っておくと、他校や他業種に持って行かれるかもしれない。
以上、「まだ辞めていない先生」の待遇を真剣に考える時代だという守備範囲外からの感想である。
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