昨日の浦高祭の記事のような派手さはないが、私の中ではかなり重要なニュースをお届けする。
 数日前、花咲徳栄高校がSNSやHP、YouTubeなどで次のような発信をしている。

 従来から生徒キャスターが登場する「花咲チャンネルニュース」というものを各種媒体で発信していたが、ここに新たに「花咲チャンネル総合ニュース」が加わった。
 「総合」と名付けた意味は先を読んでいただきたい。
 1本目のニュースは文化活動についてで、吹奏楽部が西関東大会で金賞を受賞したという報告。
 3本目はスポーツニュースで、プロ注目の野球部・石塚裕惺選手がU18アジア選手権から帰国したという知らせ。
 と、ここまでは内容的に従来の「チャンネルニュース」とほぼ変わらない。

◆地域ニュースを発信
 注目は2本目。
 「二つ目は加須市のニュースです」と始まった。
 9月15日(つまり今日だが)、市内で「わたらせサマーフェスタ2024」というイベントが開かれるというニュースだ。
 私はてっきり、同校吹奏楽部やダンス部などが出演するのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
 FMわたらせ主催、加須市及び加須市教育委員会後援のこのイベント、どこにも花咲徳栄高校の名前はない。
 学校とは関係しない純粋に加須市のニュース。
 「9月前半の」と断っているから、月2ペースくらいを想定していると思われるが、これからも地域ニュースを発信して行くものと思われる。
 それが「総合ニュース」の意味と見た。

 一体これにはどんな意図があるのか。
 インスタ始め情報発信では常に新機軸を打ち出す花咲徳栄高校であるから、何の意味もなくこんなことを始めるはずがない。

◆地元FM局を応援
 今回たまたまなのかもしれないが、昨年開局したばかりの地元FM局のイベント紹介になっている点が興味深い。
 最近のブログ記事で熊谷高校や熊谷女子が地元FM局との関係を深めていることを書いた。
 学校広報の観点から音声メディアに注目したわけだが、意外といいところを突いているのではないかというのが私の見立てだ。
 動画全盛の時代、「目が疲れないラジオ」「適当に聞き流せるラジオ」が見直されるのではないか。

 コロナで暇だったころ、都内某FM局の番組に出た。
 普通なら出演料をもらうところだが、逆にこっちが金を払った。
 つまり番組を買った。
 曜日、時間帯にもよるが、30分番組で2~3万からせいぜい5万円程度だったと思う。
 一人では辛いがみんなで出せば怖くない。
 最初、こんな番組誰も聞いてないよなと舐めていた。
 だが後日、知り合いから「聞きましたよ」と言われ、変わった趣味のやつがいるもんだと驚いた。

 これを機に、花咲徳栄高校はじめ県立不動岡高校、開智未来中学高校、県立誠和福祉高校(羽生市だが元不動岡女子で校地の一部は加須市)などが、地元FM局との関係を深めて行くと面白いのではないか。

◆広報視点からの地域連携
 各高校が地域との連携を深めようとさまざまな試みを実施しているのは承知している。
 小中学生を呼んだり、小中学校を訪ねたり。
 あるいは地元企業や行政と協力したり、連携したり。
 
 しかしこれは教育的視点であって私の守備範囲ではない。
 私の場合はあくまでも広報・生徒募集視点だ。

 地域には、教育環境に起因する人口流出を抑えなければならないという課題がある。
 高校を失った地域は、さらに人口流出が加速するという負のスパイラルに陥る可能性がある。

 また、高校側も生徒数の量的確保や質的向上を図るために、地域の小中学生から選ばれる学校になる必要がある。
 そう考えれば、生徒募集という点において地域と学校の利害が一致することが分かるだろう。

 国内での募集に苦しみ、海外からの留学生に頼った大学短大や専門学校がどんな結果になったか。
 ますますブランドイメージを損ない、さらに募集に苦しんでいる学校が多いではないか。
 それと一緒にするのは乱暴だが、地元から見捨てられた学校が生き残れるはずがない。
 
 今のところ生徒募集面ではきわめて順調に推移している花咲徳栄高校であるが、超少子化時代の持続可能性という観点から地域との連携を深めようとしているとしたら、慧眼というべきだろう。