知り合いの塾長から、「校長なのか、学校長なのか」という質問があった。
 「ある私立学校では、パンフやHPで『学校長』という表記を用いている。『校長』ではなく『学校長』と呼称するのは何か特別な意図や意味があるのか。どちらが正しいのか」という質問である。
 では、私の知識の範囲で回答してみよう。

◆法律では「校長」
 法令上の正式名称は「校長」であり、学校教育法はじめ法律では一貫して「校長」が用いられている。したがって、制度・職名としての正確な呼称は「校長」である。

 私は、はるか昔、公立高校の教員であったが、「学校長」という呼称は、見たり聞いたりしたことはないし、使った記憶もない。
 「埼玉県立〇〇高等学校長 〇〇〇〇」というのはあったかもしれないが、普通は「埼玉県立〇〇高等学校 校長 〇〇〇〇」であって、「埼玉県立〇〇高等学校 学校長 〇〇〇〇」というのはない。

◆対外文書などではあるかも
 では、「学校長」は誤りかというと、そういうわけではなくて、案内状や式辞などでは、やや改まった表現として使われることはあるようだ。
 単に「校長」と書くより、「学校長」の方が、組織の代表者であることがより強調される。また、何となく威厳があり、格調も高まる(ような気がする)。

 私は今、会社の「社長」ということになっているが、自分のことを「会社長」とは言わないし、周りからそう呼ばれたこともない。だから「学校長」には違和感を覚えるのだが、学校業界ではそのような慣用表現があるとしか言いようがない。一種のローカルルールだ。

◆「校長」か「校長先生」か
 話の流れで、「校長」か「校長先生」か、についても考えてみよう。

 この使い分けは割とシンプルだ。

 法令や公文書であれば「校長」を用いる。「校長は校務をつかさどる」「校長がこれを定める」となる。
 記事や報道などで第三者的に、客観的に記述する場合も「校長」を用いる。
 あと、当たり前だが、肩書を表記する場合も「校長」だ。名刺に「校長先生 〇〇〇〇」と記するアホはいない。

 一方、対人コミュニケーションにおいては「校長先生」が用いられる。面と向かい、直接呼びかける場合だ。

 語り手が児童生徒である場合は、目の前にいなくても「校長先生のお話を聞きました」のようになるだろう。保護者の場合も同様か。

 ホームページやSNSなど学校広報の場面でも基本は「校長」だろうが、硬くなりすぎないように、あえて「校長先生」とする場合もある。

 まとめれば。
 書くときは「校長」、呼ぶときは「校長先生」。
 相手が大人ならば「校長」、子供なら「校長先生」。
 概ねこんな使い分けとなる。

 以下、オマケ。

◆高校生のくせに先生を「さん付け」
 遠い昔話である。
 高校に入って驚いたのは、部活の先輩たちが陰で先生たちを「さん付け」で呼んでいたことだ(中には代々受け継がれてきた綽名で呼ばれている先生もいたが)。もちろん面と向かっては「先生呼び」なのだが、陰では「呼び捨て」ではなく「さん付け」。高校生ってすごいな、と思った。もちろん、自分らもそれに倣った。半世紀以上を経た今、そんな文化は残っているのだろうか。

 以前にも書いたが、最初に赴任した高校では、初代校長の方針により先生同士「さん付け」で呼び合っていた。年齢関係なし。もちろん、生徒の前では「先生呼び」なのだが、先生同士が「〇〇先生」と呼び合うことはなかった。