入学式校長式辞集。
 まあまあ読まれていて一安心。

 入学式式辞では「失敗を恐れず、何事にも挑戦してほしい」と語る校長は多い。
 それに対し、「お前もな」とツッコミを入れたのはいつだったか。
 このブログのどこかに残っているはずだ。
 で、これはジョークとして読み飛ばしてもらうとして、少し真面目に分析すれば、「失敗を恐れず云々」が多いのは、学校という場が、単に知識伝達の場ではなく、生徒たちの「成長の場」でもあるからだ。
 生徒は勉強、部活動、人間関係、進路選択など、日々さまざまな局面で初めての経験に向き合う。その過程に試行錯誤はつきものであり、失敗を避けて通ることはできない。だからこそ校長は、結果よりも挑戦する姿勢そのものに価値があることを、節目の場であえて言葉にするのだ。

 もう一つ。中学生から高校生年代は、かれらが失敗を過度に恐れやすい時代だからである。
 点数、順位、合否、評価。学校生活には目に見える「結果」が多く存在する。その中で生徒は、間違えることを恥じ、無難な選択をしがちになる。そうした空気に対して、「まずやってみよう」「失敗してもよい」という言葉は、生徒の背中をそっと押す役割を果たしている。
 またさらに言えば、これは同席する保護者に向けてのメッセージでもある。挑戦と失敗を繰り返しながら子供たちは成長するのだ。共に温かく見守ろうではないかという大人の役割の再確認。

◆先生も挑戦できる学校
 実際に学校経営という任務を背負ったことがない私が、想像のみで言わせてもらえば、生徒に挑戦を求めるなら、教職員もまた挑戦できる学校でなければならないだろう。

 学校は、子どもたちだけが学ぶ場所ではない。
 教職員もまた日々学び、試し、時にうまくいかない経験を重ねながら成長していく場である。
 校長の言葉が職員室にも静かに届き、学校全体に「やってみよう」という空気が広がっていく。そんな学校であれば、生徒たちもきっと、失敗を恐れず一歩を踏み出していけるだろう。