今日の服装は靴以外全部ユニクロ。そのユニクロの柳井正会長兼社長が京都大学にどんと100憶円を寄付。いずれもノーベル賞学者である本庶佑教授や山中伸弥教授らの研究に充てるためという。
 一度に100憶円ではなく、10憶円ずつ10年間のようだが、それはどうでもいい。
 こういうニュースが出ると、やれ税金対策だ、やれの売名だのとケチをつける人がいる。そんな金があったら社員に回せとか製品値下げしろとかわめき散らす人もいる。たぶん、そういう人たちは一生涯寄付なんてことはしないだろう。

 で、私の視点はそういうところではなく、つまりユニクロとか柳井会長ということではなく、学校経営における寄付金という所にある。
 大学の場合、企業や個人が寄付をして研究を援助するケースは以前からあるが、中高ではあまりないように思う。

 私立中高の場合、寄付金の制度はあるが、「強制ではありません」などと遠慮がちに謳っている。まあ、寄付とはそういうものだ。
 子供を私立に入れた親から「やっぱり寄付はしたほうがいいんですか」と聞かれることがあるが、その場合は、「学費を払うだけだって大変なんだから、無理はしなくていいですよ。別にそれで差別されたりはしませんから心配しなくて大丈夫ですよ」と勝手に答えている。
 子供が中学生から高校生・大学生というあたりは、親も一番苦しい時なんだから、その時に寄付をお願いするのは申し訳ない。と、私のような貧乏人は思うわけだが、実際どうなんだろう。

 子育てが一段落すると、経済的にはやや余裕ができる。むろん人によるが、一般的にはそうだろう。
 さて、多少懐に余裕ができたから、ささやかだが息子や娘がお世話になった学校に寄付でもするか。
 そう思っても学校側に受け皿がない。
 惜しいな。今なら寄付できるのに。

 保護者組織としてはPTAとか後援会とかはあるが、在学中が中心で、子が卒業してから何十年となると縁が切れてしまう。
 子には同窓会という組織があるが、卒業時に終身会費を取ってそれっきりという場合が多い。子育て前の20代、30代とか、それが終わった50代、60代というあたりは「寄付適齢期」だと思うが、これも受け皿がない。

 一番しにくいときに求めて、一番しやすいときに求めない。
 これ何とかならないか。

 ちなみに、私の母校は県立高校だが、卒業して半世紀以上経つのに今も寄付のお願いがくるよ。最近は、グランド人工芝化の費用を集めている。だから分相応の寄付はする。
 1万人が1万円寄付してくれたら1億円だからね。生徒全員に無料でパソコン配ってまだおつりがくる。

 私立学校は元々寄付で始まっているんだから、寄付を見直そうよ。そういう文化と、動機付けとシステムを作ろうよというのが私の提案だ。