教員免許更新制度が見直されるようである。むろん廃止の方向で。
 なぜこの問題が急浮上したかであるが、これは安倍晋三氏が内閣総理大臣を辞任したからだろう。
 免許更新制度は第一次安倍政権時代に出来たものだから、安倍氏が首相である間は、こうした議論は起こりにくい。

 この問題、マスコミ報道が先行している。
 すべてのマスコミがこぞって廃止論を報道しているところを見ると、政府か文部科学省のどちらかがわざと情報を流しているのだろう。書かせていると言ってもいい。
 廃止の世論を作っておいて、あとは中央教育審議会で形式的に審議し、その答申を受けて法改正に入る、という流れ。

 元々、文部科学省はこの制度にそれほど積極的ではなく、自民党文教族や当時の政権が政治主導で実現したものである。
 今の菅政権は、特に存続についてこだわりを持っていないようなので、廃止にはなるだろう。

 ただし、廃止するのは免許の更新制であって、研修や講習は残そうとするだろう。
 更新のために研修・講習を用意したのではなく、研修・講習をさせるために更新制度を作り、これを利用しようとした。
 これが教員免許更新制度の本質である。

 よって、免許更新制は廃止するが、それに代わるものとして新たな研修・講習制度が作られるだろう。
 目的は「教員に最新の知識や技能を身につけさせる」となるはずだ。

 しかし、都道府県教育委員会などがすでにさまざまな研修を実施しているから、今さら政府や文部科学省がそれに上乗せして研修をやるのは時間の無駄だ。
 教育に関する地方自治、あるいは地方分権は進められたほうがいい。
 学習指導要領があって、検定教科書があって、その上教え方まで国に指図されるんでいいのかな?
 資質向上のための研修・講習ぐらいは地方任せにしたほうがいいんじゃないかと思う。

◆ご褒美としての研修
 話が少しずれるが、私はずいぶん昔から「ご褒美としての研修」というのを提案している。
  
 ダメ教員は研修・講習をどんなに受けたって、資質向上に対するモチベーションが低いから時間とカネの無駄になる。
 学校側も、そのことは分かっていながら、一種のアリバイ作りとして形式的な研修・講習を実施する。
 バカげたことだ。

 それよりも、向学心に燃えた、やる気のある教員に研修・講習を受けさせてあげる。
 つまり、研修・講習は義務じゃなくて権利
 「あなたは、いろいろ問題があるから、一度研修を受けてください」、
 ではなく、
 「あなたは、とてもいい働きをしているので、ご褒美として研修を受ける権利をあげます」
 という感じ。

 どんな研修を受けるかは本人の自由。
 費用は学校持ち。
 何なら、その間、授業持ち時間減らしましょう。
 これがご褒美としての研修。

 ダメ教員に嫌々研修を受けさせたって、せいぜいが「多少まともになったかな」という程度。
 それすらも怪しい。
 だったら、デキル教員に好きな研修受けさせて、極上の教員になってもらう。

 大学院に行かせてあげる。企業研修に出してあげる。海外に派遣してあげる。
 時間と金の使い方としてはこっちだろう。

 「ダメだから研修を受けさせる」から、「頑張ると研修を受けさせてもらえる」への転換。
 いま現在、こうした研修がまったくないわけではないが、もっと増えてもいいと思っている。