明日はハーフマラソン3連戦の2戦目、小江戸川越ハーフマラソンだ。が、天気が悪そうだ。マラソンは元来全天候型競技で、ちょっとやそっとのことで大会自体が中止になることはなく、私も若いころは荒天をものともせず参戦したわけであるが、なにせ年であるから、雨が止まないようなら見送ろう。風邪でも引いたら元も子もない。

 こういう判断ができるようになったのが、自分で言うのも何だが、人間の成長というものだ。

 川越のレースはスタートが早い。要項ちゃんと読んでないが、たしか8時半ぐらいだったか。普通は9時とか10時だ。遠方から来るランナーは大変だろう。
 私は、この異常に早いスタート時間はコース前半に「蔵造りの街並み」を設定しているためだと睨んでいる。
 大会の目玉として、「蔵造りの街並み」は走らせたい。しかし、5000人ものランナーに一日中、観光名所のメインストリートを占領されては、観光地全体としては打撃が大きい。そこで、朝早いうちにランナーを通過させてしまおうという作戦だ。8時半スタートなら、9時過ぎにはどんなに遅いランナーでも連雀町から札の辻までの「蔵造りの街並み」は通過してしまうはずだ。
 われわれランナーは、川越らしいところを走るのはここだけで、あとはひたすら田園風景の中を走る。もっとも、それこそ川越っぽいではないかという声もある。

 京都マラソンに2回ほど出たことがあって、よく人から京都の街並みを走れていいですねと言われるが、とんでもない。メインストリートの烏丸通は1mも走らせないし、嵐山もさらっとかすめるだけだし、二条城も金閣寺も清水寺も八坂神社も、とにかく有名観光地はすべて遠ざけたコース設定だ。後半鴨川沿いを走る、と言えば聞こえがいいが河川敷だぜ。

 多少有名なところとしては仁和寺山門前を通過して、そこで坊さんたちが総出で応援してくれて、これは京都マラソン名物になっている。今年ある場所で仁和寺の僧侶と会う機会があって、「いつも応援ありがとうございます」と言ったら、「喉は日頃から(読経で)鍛えてますからね」と胸を張っていた。

 京都も観光地だから、市内中心部を丸一日ランナーに独占されるのは迷惑なんだろう。
 しかし、そう考えると東京マラソンはすごい。銀座通りを堂々走らせるんだからね。東京駅前がゴールだし。
 昔、石原慎太郎都知事が、「ロンドンやニューヨークにはあるのに、なんで東京にはないんだ」みたいなことを言って、それで現在の東京ど真ん中を走らせる大会が実現したと聞いている。ここは石原氏に感謝だ。

 以上、ランナー目線で発言しているが、みんながみんなマラソンに興味があるわけではなく、迷惑だと思っている人も大勢いるはずだ。と言うより、交通規制などあって実際に迷惑をかけている。
 われわれランナーは、自分たちの楽しみのために、他人に迷惑をかけているという発想も持たなければいかんね。