その昔、公立高校教員であった頃の有給休暇の話。採用1年目に付与されたのが15日。その年度は一日も取らず丸々15日が繰り越しとなり、2年目スタート時はその年の分と合わせて35日。この年も一日も取らず35日中20日分が繰り越しとなり、3年目スタート時は40日。以後、退職まで年度スタート時は常に40日。

 たっぷりあった有給だけど実際には取れなかったね。担任もあるし、部活もあるし、授業だって自習にしてしまえば進度が遅れるし。だから自分の都合で有給を取ることはなかった。
 公立教員の有給は1時間単位で取れたので、子供が小さい時は保育園に送って行くためとか、病院に連れて行くためとかで時間単位で取ることはあったが高が知れている。
 長期休業中に消化するようにという指導があったりしたが、補講もあるし部活もあるしで、一体いつ取るのよという感じ。結局、書類上休暇届を出して、実際には学校で仕事をしている状態。

 給特法改正案では、勤務時間を年単位で調整する「変形労働時間制」を自治体の判断により公立学校で導入可能とし、繁忙期の所定労働時間を増やす代わりに夏休み期間中に5日程度の休日を確保するというが、経験的に言って自由に取れる有給だってこんな有様だから、夏休みに休暇を確保するというのは現実的な方法ではないと思う。

 もちろん、私の経験は、はるか昔のことであるし、現在とは制度しくみも異なるので(土曜日は休みではなかった)、同列には論じられないが、夏休みまとめて休むのはほぼ無理なので、このままでは日常の残業を合法化し、さらに激務を強いるだけとなるだろう。

 休日を設定するのではなく、それを確保できる環境を作ることである。
 業務の見直し(削減)。
 まずはここからだ。
 私が教員だった時代に比べ、学校や教員が請け負うべき仕事は増えていると思う。「今の先生はそんなことまでやらなければいけないんだ」。そう思うことがしばしばだ。
 業務を削減(軽減)し、あるいは合理化する。また、そのために必要な人員配置、予算措置をとる。このことが同時並行で(セットで)行われないと実効性はない。

 仕事が終わらないんだから夜だって休日だってやらなければダメでしょうというのは、教員だって民間だって同じこと。
 要するに、業務量と勤務時間のアンバランスが問題なのであって、その不均衡は5日程度の休みで解消できないのは明らかであるから、そこに本気でメスを入れなければ何も解決しない。
 文科省には予算(お金)を伴った改革案をお願いしたいものだ。