昨日からの流れで、埼玉県内私立の教育理念などを調べてみる。例によってホームページによる調査で、今回は教育理念・建学の精神・校訓にスポットを当ててみた。
教育方針・教育目標まで拡大すれば、どこの学校も掲載しているのだが、やはり建学の精神・校訓あたりが一番私立らしさが出るところだろう
以下、学校名からその学校の当該ページに飛ぶようになっている。
◆浦和学院
建学の精神:吾道一貫
校訓:克己 仁愛 共生
◆青山学院大学系属浦和ルーテル学院
建学の精神:神と人とを愛する人間 神と人とに愛される人間
◆浦和麗明・叡明
教育理念:叡智・高志・協調
建学の精神:みんなから愛される人 社会に役立つ人 勤労を尊び前進する人
◆大宮開成
校訓:「愛 知 和」 21世紀を担う調和のとれた人間教育
◆大妻嵐山
建学の精神:学芸を修めて人類のために~Arts For Mankind~
校訓:恥を知れ
◆開智高等部
校訓:自律 創造 公正
◆開智未来
校訓:創造・発信・貢献
教育理念:人間が育つから学力が伸びる 学力が伸びるから人間が育つ
◆埼玉栄・栄東・花咲徳栄・栄北
建学の精神:人間是宝(にんげんこれたから)
校訓:今日学べ(こんにちまなべ)
◆正智深谷
校訓:「選択(せんちゃく)」「専修(せんじゅ)」
◆昌平
校訓:礼儀・勤勉・明朗
◆東京農大三
建学の精神:人物を畑に還す
教育理念:不屈 探究 信頼
◆本庄第一
学園理念:響生(きょうせい)
◆山村学園・山村国際
校訓:質実 英知 愛敬
■らしさがよく表れているのは
これはもうこの学校しかないなと思うのは、浦和ルーテル学院の建学の精神「神と人とを愛する人間 神と人とに愛される人間」。ルーテルの名は16世紀ドイツの宗教改革者マルティン・ルターに由来する。いかにもミッションスクールらしい言葉だ。
正智深谷の校訓「選択 専修」の「選択(せんちゃく)」とは、正しいものを選びとること、「専修(せんじゅ)」はひたすら打ち込むことで、浄土宗開祖・法然上人の教えに基づくものだ。
以上は宗教に原点がある学校。
埼玉県内でもっとも新しい私立学校である開智未来の校訓「創造・発信・貢献」に「発信」が含まれているのは、いかにも平成生まれの学校らしいではないか。おそらく昭和以前生まれの学校からこの言葉は出てこない。
東京農大三の建学の精神「人物を畑に還す」も、すぐにこの学校のものだと分かる。「人物を畑に還す」とは、事物を科学的に解明し、解決手段を見出して現場に還す能力を備えた人物を育てるという意味だそうだ(同校HPより)。
■私のお気に入りは
よく知られているという点では埼玉栄などの校訓「今日学べ」ではないか。栄東、花咲徳栄、栄北の4高校ほか小学校から平成国際大学に至るまで佐藤栄学園に属する学校に共通するものなので、目にし耳にする機会が多い。
個人的に一番のお気に入りは、大妻嵐山の校訓「恥を知れ」だ。東京にある大妻・大妻中野・大妻多摩の校訓も同じ。
これは学園創立者・大妻コタカ先生の言葉で、人に見られたり、聞かれたりしたときに恥ずかしいようなことをしていないかと、常に自分を戒めなさいという意味だ。他人に対して、「テメエ、恥を知りやがれ」というのとは違う。
自分を律する心の根本にあるのは相手に対する尊敬であり、親愛のこもった思いやりである。その心が形となったものが礼儀である。
決して今風ではないが、忘れてはならない言葉だ。
■公立に校訓や建学の精神がないのは
私立学校は、志のある創業者が私財を投じて創ったものであるから、そこに教育的な理想があり、それを表したのが建学の精神であり校訓である。創業者の言葉と言ってもいい。
それに対し公立学校は、特定の人物が立てたものではないから、教育方針や教育目標はあっても、建学の精神はない。ただ、長い年月の間に校訓や理念という形で定着してきたものはある。
公立には珍しく、建学の精神・校訓を掲げている学校がコチラ↓
埼玉県立松山高校
この学校のWEBサイトは更新頻度も高いし、非常に見やすくまとめられている。
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