水曜日(9月16日)、熊谷女子高校に行ってきた。熊谷高校は駅からちょっと距離があって歩くのはしんどいが、ここは10分もかからない。浦和からの電車乗車時間も湘南新宿ラインの早いやつだと40分以下だ。
 明治44年(1911年)創立の県内屈指の伝統校だ。教員も多いので、おそらく本ブログ読者の中にも卒業生がいるだろう。
 が、最近は倍率を見てもやや寂しい。
 ということで、頼まれたわけではないが、勝手に募集戦略を立ててみるわけである。

 令和2年度入試は、318人募集のところ志願者374人(受検当日)、倍率は1.18だ。
 低いね。
 全県普通科平均の1.15を僅かに上回る程度だ。

 女子校仲間の浦和一女が1.38、川越女子1.39だから、かなり見劣りする。
 まあ、130万都市さいたま、35万都市川越に対し、19万都市熊谷という背景の違いはあるわけだが、それにしても寂しい。

 仮に1.38を目標にすると志願者は438人必要だ。あとプラス64人。
 これはかなり厳しい数字だ。
 で、いきなりは無理なので、間をとって1.28をさしあたり目標にしてみよう。志願者は407人必要。あと33人。
 うん、これなら可能性がある。

◆まずは近いところから
 熊谷市内には中学校が16あるから、1校あたり2人増加で実現できる。
 熊女からもっとも近い富士見中は市内最大規模の中学校だから、ここが狙い目だ。次が、熊谷東・玉井・三尻あたりか。

 学校が凋落していくパターンは、地元人気の低落から始まる。
 裏を返せば、人気上昇の鍵は地元が握っているのである。
 深谷市やさいたま市や鴻巣市・行田市を攻める前に、まずは地元固めである。
 市内16中学から3ケタの志願者を集めれば、とりあえず1.28は実現できる。

◆市内全中学校の女子の1番を集める
 志願者はただ頭数を集めればいいというものではなく、その中身が問題だ。
 上位が増えた結果の1.28と、下位が増えた結果の1.28ではまったく意味が違うのは当然のことだ。
 今春さいたま市から33人が入学している。毎年こんなものだ。
 さいたま市からの生徒は、浦和一女・大宮・市立浦和といった上位校はちょっと無理かなという生徒だろう。
 
 さいたま市から1割の生徒が通っているということは、十分に通学圏ということであるから、逆に熊谷からさいたま市への流出があると考えなければならない。
 もし仮に、さいたま市及び国立・私立への流出が、下位層であればいいが、上位層だとすれば、ここに最大の問題がある。
 熊女は一度、各中学校の女子の最上位層がどんな選択をしているか調べたほうがいい。
 私の直感では、市内トップレベルの女子が、相当数市外に流出している。
 さいたま市だけでなく県立不動岡や私立の本庄東あたりにも流れているのではないか。

 とにかく、流入に期待するより、流出を防ぐのが先決だ。

◆受け皿をどう作るか
 最上位層を集めたかったら、その受け皿を作る必要がある。私立だったら、特進選抜やさらに上のスーパー特進を作るといったやり方だ。これに特待生制度を組み合わせる。
 が、公立はこれができない。
 思い切って理数科を作りたいところだが、同じ市内に熊谷西があるから、いまさら無理だろう。

 現状の教育課程を見ると、2年で文理分けし、3年ではこれが「文・文理・理」の3つに分かれる。
 文理とは何か。
 要は、看護・医療技術系への進学を念頭に置いたカリキュラムだ。

 うーん。ここが実に悩ましい。
 大きな特色であり、魅力にもなっているわけだが、傍から見るとここがネックになる。
 生徒がそういった方向に進むことにまったく異存はないわけだが、ここを強調すればするほど、進学校イメージから遠ざかって行く。
 まあ、好き勝手に言わせてもらえば、熊女生には看護師より医者、医療技術者より医療研究者を目指して欲しいのである。

 学校案内パンフレットにこのようにある。
 文型「教員養成に進学する生徒が多い」
 文理型「看護や医療技術系の進学に強い」
 理型「理数科にも負けない進学実績。国公立大学の進学にも強い」
 
 たとえば理型なら「理数科にも負けない進学実績」ではなく「事実上の理数科」と言い切れないか。また「国公立大学の進学にも」の「にも」を抜いて「強い」と断言できないか。
 文型も「教員養成」と限定されてしまうと、じゃあ埼玉大学かと思ってしまう。

 第一希望が旧帝大はじめとする難関国公立、あるいは早慶など難関私立である生徒は、この学校に入ってどのような学びを選択すればいいのだろう。
 その答えを用意してあげる必要がある。分かりやすく示してあげる必要がある。

 教員でもない外部の者が、教育内容にまで立ち入るのはどうかと思いつつ書いているのだが、募集と受け皿は不可分であると言いたいのである。

 県内高校入試市場においては、東京一極集中ならぬさいたま市一極集中が進んでいる。そんな中、地方の(と言っては失礼だが)学校の良さも見直されなければならない。
 頼むぞ、「くまこう」「くまじょ」。