昨日(6月10日記事)の続編である。老化による体力低下で原稿を一気に書くことができないため2回に分けた。

◆大宮北はステージ4
 コロナの場合だとステージ4は感染爆発で医療崩壊しているわけだが、ICT教育では一番進んでいる段階だ。
 ステージの指標となるのは、「無線LAN」、「大型提示装置(プロジェクター」、「端末」の三つ。
 公立高校では「無線LAN」、「大型提示装置」は備わったが、「端末」が進まない。

 「端末」について、
 ステージ2は、「グループに1台、可動式PC」
 ステージ3は、「授業展開に応じて必要な時に1人1台、可動式PC」
 ステージ4は、「1人1台専用、可動式PC」

 大宮北は2019年度に学校全体でステージ4を達成した。
 国が進める小中学校のGIGAスクール構想よりも早い。

◆すべてをタブレットへ
 同校WEBサイトに「大宮北のICT」というページがあるので、詳しくはそちらをご覧いただこう。
 パナソニックやベネッセ(classi)などのサイトにリンクが貼られ、そこで紹介記事がみられる。

 先生「黒板とチョーク」
 生徒「ノートと鉛筆」
 といった旧来の授業スタイルは、タブレット(PC)・WEBに置き換えられた。
 
 が、これは出発点というのが同校の認識だ。
 環境整備が進んでいる私立の先生方もおそらく同様の認識をお持ちだろう。
 昔ながらの授業に最新ツールを持ち込んだだけでは意味がない。
 (それすら出来ていない学校がほとんどだが)

 大事なのは新しい学びのスタイルを実現すること。
 それを可能にし、支えるのがICT。
 要は授業改革なのだ。
 と、同校ICTの推進役・筒井賢司教頭は力説されていた。
 仰せの通り。
 ここまでの大宮北よりも、これからの大宮北に注目しよう。

◆直近の大学合格実績
 ICT先進校なのはよくわかったが、進路の方はどうなの?
 そう。それは私も気になった。 

 では、2021(令和3)年3月の大宮北の大学合格実績を見てみよう。
 国公立  32人(うち浪人4)
 早慶上智  4人(うち浪人3)
 MARCH  49人(うち浪人4)    
 国公立は筑波・千葉・埼玉・宇都宮・群馬・茨城など関東が中心。

 より詳細なデータは同校サイトへ。
「大宮北高校 令和3年度大学別合格数一覧」
※大宮北へのお願い
 ▼理数科だけの実績を知りたい人もいるのではないか。
 ▼( )は内数にしたほうがいいのではないか。そうしている学校が多い。たとえば、「宇都宮大2(1)」とあるが、これだと合格2人で、うち1人が浪人と読み取られる可能性がある。実際は3人合格で、うち1人が浪人であるから「宇都宮大3(1)」の方がいいと思う。まあ、決まった表記の仕方があるわけではないのでどっちでもいいが。

◆学校選択採用校では3番手グループ
 大学合格実績を国公立だけで見るのが適当かどうかは意見の分かれるところだが、分かりやすい指標ではあるので、学校選択問題採用校を直近の国公立合格件数でグループ分けしてみた。
 
第1グループ【国公立100人以上】10校
 浦和・浦和一女・大宮・春日部・川越・川越女子・熊谷・越谷北・不動岡・市立浦和

第2グループ【国公立50人以上】6校
 浦和西・川口北・熊谷女子・熊谷西・所沢北・蕨

第3グループ【国公立30人以上】2校
 越ヶ谷・川口市立・大宮北

第4グループ【国公立10人以上】3校
 川越南・所沢・和光国際

 100人超えの第1グループは県を代表する公立進学校と言える。
 所沢北・蕨は第2グループとしたが90人台である。
 大宮北の32人は越ヶ谷(40人)、川口市立(35人)と並び第3グループに分類される。
 川越南(10人)、所沢(15人)、和光国際(15人)の西部地区3校については学校サイトを紹介しておこう。

 川越南 進学実績

 所沢 進学実績

 和光国際 進学実績
 ※和光国際の進学実績ページは読み手の視力と想像力が試される。判読できた人は素晴らしい。

 もし学校選択問題採用校に入れ替え戦があるなら、上記3校は、伊奈学園(43人)、松山(37人)あたりと入れ替わってもいいくらいだ。撤退した春日部女子(25人)も埼玉県立大学中心ながら常に20人台はキープしている。
 大宮北には、同じ南部地区の浦和西(62人)、川口北(61人)に迫る実績を出してもらいたいものである。

◆進学校にICTは要らない
 これは私が言っているのではない。
 そのように言っている人もいるという話である。

 やれ思考力だ、やれ表現力だと言っても、結局は覚えるべきことを覚えて、問題演習をこなしたもん勝ち。
 それじゃあまずいというのが、大学入試改革なのだが、必ずしも事はうまく運んでいない。

 入試は資格試験や認定試験じゃない。
 誰を入れ、誰を入れないかを決めるのが主たる目的だ。
 教育の成果を問うと言いたいところだが、訓練の成果を問うという面が強い。
 論文が大事と言えば論文対策、面接と言えば面接対策、プレゼンと言えばプレゼン対策がとられるに決まっている。

 教育の理想を追いつつ、入試の現実と向き合う。
 いわば二正面作戦が求められるのが実際のところだろう。
 ICT先進校である大宮北が県を代表する進学校ということになれば、「進学校にICTは要らない」といった声も次第に小さくなって行くことだろう。