コロナ感染者(検査陽性者)急増中。嬉しいか嬉しくないかと問われれば、嬉しくないに決まっているが、マスコミ的には大歓迎。
例えば今日の朝日新聞デジタルの記事。
国内「感染者数、累計100万人超す 8日間で10万人増」
とりあえず大きな数を使え。
見出しの鉄則だ。
ここでは100万人がポイントだ。
累計に意味があるのかという話は措くとして、100万人というのは大きな数だ。
5万人とか10万人だったら、コンサートやスタジアムで見たことがあるが、100万人はこの目で見たことがない。
しかし、日本の人口は1億2500万人であるから、100万人は0.8%に当たる。
分かりやすくざっと1億人で計算しても「100万÷1億」で1%。
でも、「感染者、累計で0.8%」や「感染者、累計で1%」では、いかにも迫力に欠ける。
1年半経って、日本人の99%は罹っていないのか、となる。
なら、日本人全員が感染するまで100年か150年かかるじゃないか。
大したことない。
見出しは読者の目をひくためにある。
「新聞は見出しだけ読む(それだけで分かる」と言った人がいるが、見出しは記事本文の要約ではない。
見出しと記事本文の内容が食い違っていることは、しばしばある。
見出しは記事本文を読ませるためにある。
記事本文に進んでもらわなければ、頑張って取材して、苦労して記事を書いても水の泡だ。
「見出し→記事本文」と進んでもらって初めて報われる。
だから、見出しは重要なのだ。
あくまで一般論であるが、見出しと付ける人と、記事本文を書く人は別という場合が多い。
外に出て、取材して記事を書くのは記者。
中にいて、見出しを付けるのは編集部とか整理部とかの人。
むろん取材記者自身が見出しを付けることがないわけではないが、毎日何十、何百とニュースを発信しているマスコミは基本分業体制なのだ。
というわけなので、見出しがセンセーショナルなのは、ある程度仕方ない。
そういう習性を知って、見たり読んだりすればいい。
累計は減ることのない数字なので、大きな数にしたい場合、便利に使える。
割合(パーセント)で示すか、絶対数で示すかは時と場合による。どちらか大きく見える方を使う。
見出しにある「8日間で10万人増」というのは、どういうことか。
記事本文によると。
感染者70万から80万に増えるのに6週間かかった。
感染者80万から90万に増えるのに4週間かかった。
感染者90万から100万に増えるのに8日間かかった。
どうだ。10万増加のペースが早まっているだろう。この分だと1週間に10万人、3日で10万人、1日で10万人って話になるぞ。恐いだろう。
と、読ませたいわけだが、この記事は70万から80万のところから話を始めているのがミソだ。
それより前の、50万から60万は約3週間、60万から70万は18日間だった。
つまり5月の連休から、連休明けにかけての2~3週間に次ぐペースということだが、それではインパクトに欠ける。
まあ、そうやって、いろいろ工夫をしているわけだ。
ちなみに新規感染者1万5千人超と報じられている今日、死亡者数は前日比+8人である。
これが記事になることはない。
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