昨日に続き、今年4月の入学者調べ。本日は私立編。
公立の場合、志願倍率や定員充足率は、学校人気を反映していると言っていい。
私立についても同様のことが言えるが、定員充足率が100%を下回っていても、直ちに人気低下と見なすことはできない。
募集政策として、あえて入学者を抑えている場合がある。
公立は原則として入学者が募集人員を超えることはない。
だが、私立の場合は、募集人員より多めの入学者をとることがある程度許容されている。
これは私立に経営上のメリットを与えているのも確かだが、受験生にとってのセーフティーネットという意味合いもある。
公立を落ちても行く学校がないという事態が生じないのは、私立が多めにとることを許容しているからである。
が、私立側も際限なくとるかと言うと、そんなことはない。
キャパを大きく超える入学者があれば、教育環境の悪化は避けられず、学校の評判を落とす結果になりかねない。
それと、「私立学校運営費補助金」の問題もある。
ここでは深入りしないが、極端な定員超過は、私立学校の重要な財源の一つである「私立学校運営補助金」の減額につながりかねない。
というわけだから、私立は数年前からの状況と数年後に予想される状況を考慮しつつ募集を行っている。
さて、以上を頭の片隅に入れながら、今年の入学状況を見てみよう。
【定員充足率が90%以下の学校(全日制普通科)】
秀明 35.6%
城西川越 65.0%
秋草学園 70.3%
秀明英光 73.3%
埼玉平成 74.3%
本庄第一 75.3%
西武文理 76.7%
浦和実業 79.6%
開智未来 80.5%
大妻嵐山 80.6%
国際学院 81.3%
大宮開成 86.8%
人気のある大宮開成が90%に達していないのは意外に見えるが、昨年137.2%、一昨年119.0%と2年連続して大幅な定員超過をしているので、意図的に抑えたものと思われる。
秀明は2年連続30%台。
城西川越は85%、75%、65%と、10%ずつ下がっているのが気になる。
秋草学園は70%~80%で推移している。それ以下に下がることはなく、ある意味安定している。
秀明英光はここ数年70~80%が続いている。
本庄第一は昨年、一昨年の50~60%台に比べればやや上向きか。
西武文理は一昨年74.5%、昨年91.4%と苦戦が続いていると言うべきか。
浦和実業は商業科と合わせると2年連続大幅超過なので抑え気味だったか。
開智未来は定員減(40人)を行った分充足率はやや上昇した。
大妻嵐山は一昨年56.1%、昨年72.2%と少しずつ上がってきている。
国際学院は一昨年42.5%、昨年57.5%とここも少しずつ上がってきている。
では次に、今年の充足率が高かった学校も見ておこう。
【定員充足率が120%以上の学校】
浦和麗明 131.6%
星野 131.1%
花咲徳栄 127.3%
叡明 122.9%
浦和麗明は2年連続で130%を超えている。
叡明は一昨年135%から昨年94.6%とやや下がったが再び上昇した。
星野は一昨年90.8%、昨年119.1%、今年131.1%と上がり続けている。
花咲徳栄は一昨年102.7%、昨年115.2%、今年127.3%と、ここも上がり続けている。
これらの学校は各地域で人気が高まっている学校と見ることができる。
確かなところは分からないが、130%を超えるあたりが前述した「運営費補助金」削減の目安という話だ。
ただし、機械的に決定されるものではなく、全体的な状況を見ながらということのようだ。
まあ補助金の話は別として、学校側は現有の施設と教員数などを勘案しながら、教育の質を落とすことのないように入学者を調整しなければならず、なかなか困難な仕事だと思う。
私立の募集担当者の皆さん、コロナに負けず、暑さに負けず頑張ってください。
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