本日は「よみうり進学メディア(10月号進路特集)の取材で春日部共栄高校に行ってきた。
 令和3年春は、国公立に現浪合わせて90人、現役だけで84人と、過去最高(私の記憶では現浪で101人)に近い結果を出した。
 近年、私大志向の高まりで国公立希望者が減少気味だったが、国公立情報を積極的に流した結果、受験者が上昇に転じ、それに伴って合格者も増えたということだ。
 北海道・東北・名古屋・九州など、いわゆる旧帝大の合格は出ているが、東大・東工・一橋といった難関への合格が出ておらず、そのあたりが今後の課題であろう。

 さて、取材を終え事務所に戻り、春日部共栄の国公立現浪90人、あるいは現役84人という数字は、全県的に見て、どのあたりのポジションになるのかを調べてみた。
 
 最初に断っておくが、評価の仕方はいろいろある。
 たとえば、国公立合格者が多いことをもって、ただちに進学校として優秀だと断じることはできない。
 一口に国公立と言っても、難易度はさまざまである。
 国公立より難易度の高い私大はいくらでもある。
 今日ここで示すのは、一つの見方である。

 調査の手順。
 1 現浪合計で合格者数(のべ合格件数)が30人以上である学校をピックアップする
 2 現役の合格者数(のべ合格件数)を調べる。
 3 令和3年3月卒業生数で割り算し、国公立現役合格率を算出する。

 このプロセスで問題となったのは、卒業生数が分からない学校があったこと、また、現浪の内訳が分からない学校があったことだ。
 なお、言い忘れたがデータは、埼玉新聞によるアンケート調査を基とし、各校ホームページ公開情報で補った。
 
 結果は次のとおり。
 数字は卒業生数、現浪合計合格数、現役合格数、現役合格率(現役合格数÷卒業生数)の順であり、現役合格率順に並べた。
 ★は私立高校。

1 大宮(360・212・174)     48.38%
2 浦和(360・231・131)     36.39%
3 市立浦和(364・151・127)   34.89%
4 浦和一女(358・166・122)   34.08%
5 浦和明の星女子★(136・55・41)30.15%
6 川越(395・183・116)     29.37%
7 春日部(356・160・102)    28.65%
8 越谷北(360・110・99)     27.50%
9 大宮開成★(452・119・119)  26.33%
10 不動岡(360・106・94)     26.11%
11 川越女子(393・113・99)    25.19%
12 熊谷(319・118・79)      24.76%

 ここまでが四捨五入で25%超、つまり4人に1人以上が現役で国公立に合格したと考えられる学校だ。
 なお、大宮・浦和・越谷北・不動岡は正確な卒業生数が分からず、360人で計算した。
 大宮が群を抜いている。
 1人で2つ以上の大学に合格しているケースも考えられるが、私大と異なり1人の受験生がそれほど多くの合格数を稼ぎ出すことはできないので、大宮の場合はおよそ2人に1人は現役で国公立に合格している計算となる。
 浪人が多いという評判の浦和だが、こちらも3人に1人以上は現役合格している。
 志願者数が低下し続けている伝統校・熊谷も、旧帝は北大のみだが何とかこの位置をキープしている。

 完全中高一貫の浦和明の星女子を別とすれば、私立では大宮開成が最上位となっている。
 大宮開成は現役の合格数のみ発表しているので、総合格者は若干増える可能性はある。
 私立の場合は、中高一貫生と高入生の数字を分けて出したいところだが、今回は時間の関係もあり、そこまでは調べていない。

 続き。
13 蕨(385・99・91)       23.64%
14 開智★(592・169・139)    23.48%
15 開智未来★(185・46・42)   22.70%
16 所沢北(358・89・74)     20.67%
17 浦和西(360・79・67)     18.61%
18 城西川越★(183・32・29)   15.85%
19 春日部共栄★(551・90・84)  15.25%
20 熊谷女子(316・52・48)    15.19%
21 淑徳与野★(346・53・52)   15.03%
22 昌平★(528・84・79)     14.96%
23 川口北(358・61・52)     14.53%

 以上が四捨五入で15%超の学校だ。
 蕨はひと頃の低迷から脱した感がある。
 開智は中高一貫部の頑張りもあるが、高等部(高入生)のみでも21.28%という高い数字を示している。
 開智未来は卒業生数185人と小規模なので、絶対数で上位にランクされることはないが、今回のような計算だと上位に食い込んでくる。
 今日取材した春日部共栄はここに登場する。総数で3ケタ(100人)、割合で20%台あたりが次の目標か。
 熊谷女子も熊谷同様、何とかこの位置をキープしている。
 昌平は今の勢いからすれば20%台はすぐに到達しそうだ。
 川口市立に人気で押され気味の川口北もギリギリこのポジションをキープ。

 さらに続き。
24 熊谷西(320・52・45)     14.06%
25 越ケ谷(316・48・44)     13.92%
26 本庄東★(498・72・67)    13.45%
27 星野★(804・94・92)     11.44%
28 川越東★(471・76・50)    10.62%
29 花咲徳栄★(576・48・47)    8.16%
30 大宮北(355・32・28)      7.89%
31 春日部東(343・30・27)     7.87%
32 西武文理★(315・35・24)    7.62%
33 松山(316・32・24)       7.59%
34 川口市立(469・35・35)     7.46%
35 埼玉栄★(761・39・35)     4.60%
36 伊奈学園(773・43.35)     4.53%

 以上、現浪合計30人以上の学校のデータである。
 西武文理はここまで下がってしまったか。
 川口市立はこれから伸びてきそう。
 花咲徳栄・埼玉栄は普通科だけに絞れば、もう少し高い数字になりそう。

 
 なお、当然上位に来るであろう栄東が見当たらないのは現浪別のデータを公表していないためである。
 狭山ヶ丘、栄北も30人は超えているが現浪別が判明せず割愛した。
 
 大急ぎで調べたデータなので多少の不備はあると思われる。