連日、希望調査ネタだが、本来そういうブログである。

 新聞では、公立各校の倍率が掲載されているが、私立のそれはない。
 途中、いろいろなプロセスがあるが、最終的には受験者はほぼ合格するのが、埼玉県内私立の入試であるから、一部私立を除けば、倍率に関心を持つ受験生・保護者はいないのである。

◆調査対象には私立中学校も含まれる
 この調査の対象は、県内の国立・公立・私立中学校の卒業予定者である。
 国立は埼玉大学附属中学校、公立はさいたま市立含む各市町村立中学校、私立は高校附属(中高一貫)の31校。
 
 各私立高校の希望者データは、今回発表された「令和4年3月中学校等卒業予定者の進路希望状況調査(令和3年10月1日現在)」の、統計表・第4表にあるので、元を当たりたい方はそちらをどうぞ。

 下の表は、埼玉県内私立全日制高校の、今回調査希望者数、前年同期希望者数、今回と前年同期の差を示したものだ。
 
 前述したように私立中学校も対象となっている。
 それらの在籍者(卒業予定者)は概ね内部進学の形で系列の高校に入ることを希望するだろう。
 したがって、各高校の希望者数は、内部進学希望者と、高校からの入学を希望する者の合計ということになるだろう。

 高校入試を実施するのは47校である。
 このうち、今回調査における進学希望者数が前年同期を上回ったのは26校、前年同期と同じだったのが1校、前年同期を下回ったのが20校となっている。
 全体としては私立希望者は9831人であり、前年同期の9384人より447人増えている。
 増減数が大きいのは次の高校である。

■前年同期より希望者(実人数)が増えた主な高校
 浦和学院  79人
 浦和麗明  78人
 大宮開成  77人
 春日部共栄 65人
 栄東    59人
 花咲徳栄  59人
■前年同期より希望者(実人数)が減った主な学校
 星野    96人
 狭山ヶ丘  72人

 希望者数は、中高一貫校の場合、その年の内部進学者数の影響を受けるだろう。
 また、上記の学校で言えば、たとえば浦和学院は800人定員であり、浦和麗明は320人定員であるから、79人又は78人という数字が持つ意味はまったく違うのである。

◆公立にならい、倍率を計算してみる
 私立は募集人員よりもかなり多くの合格者を出し、実際の入学者もそれに伴い募集人員の2割増し、3割増しということがある。
 よって、公立のように「希望者÷募集人員」で倍率を出してもあまり意味はない。
 が、それを承知の上で、公立同様に現時点での倍率を算出してみた。

 
 倍率というより、現時点における募集人員に対する希望者の割合である。
 内部進学者の動きはあまりないと思われるが、外部からの入学希望者については、今後変動があるだろう。
 第2回調査までに、(公立→私立)という動きがある一方、(私立→公立)という動きはあまりないので、各学校とも希望者数は増えて行くと予想される。

 現時点で、公立と同じ方法で倍率を計算すると、ほとんどの学校が定員割れ状態である。
 が、今後、単願希望者が増えてくる。また、公立受検で不合格となった者(併願受験者)が10%~20%程度入学してくるので、最終結果として定員を割る学校は非常に少ない。この点が公立との違いである。

■現時点で計算上、高倍率となっている主な学校
 【単】は附属中学校を持たない高校単独校を表す。
 栄東   0.95
 埼玉栄  0.81
 開智   0.74
 山村国際 0.74【単】
 大宮開成 0.70
 浦和麗明 0.69【単】
 昌平   0.67
 独協埼玉 0.67
 淑徳与野 0.64
 栄北   0.63【単】

 以上は、附属中学校からの内進生を含めたものである。
 そこで今度は、募集人員と希望者数から内部進学者数(予定)を差し引いて再計算してみる。

■高入生だけで、高倍率となっている主な学校
 埼玉栄  0.76
 山村国際 0.74【単】
 栄東   0.73
 浦和麗明 0.69【単】
 栄北   0.63【単】
 大宮開成 0.61
 山村学園 0.59【単】   
 叡明   0.56【単】
 昌平   0.56
 正智深谷 0.53【単】
 東京農大三0.53
 花咲徳栄 0.53【単】

 あくまでも計算上のことだが、内部進学者を除くと、ちょっと違った姿が見えてくる。
 高校単独校としては、今後他の私立に希望が変わる可能性はあるものの、現時点の希望者数をそのまま第一希望と受け取ることができる。

 一貫校である埼玉栄の場合で見ると、募集人員は720人となっているが、これは附属中学校からの内進生(142人)を含めたものなので、高入の募集枠は(720-142)で578人となる。今回希望者580人だが、この中に内進生(142人)が含まれると推定できるので、高入の希望者は(580-142)で438人となる。よって、(438÷578=0.76)というのが上記の計算だ。現時点でこの数字が出ているということになると、今後単願希望者が増え、公立入試の結果、併願者が戻ってくると、公式発表の募集人員をかなり上回る入学者になるだろうと予想できる。

 この計算方式で0.5を超えているような学校は、結果として定員割れとなる可能性は低く、むしろ定員超過状態となる可能性の方が高い。

 一方、開智未来(0.10)、大妻嵐山(0.28)、狭山ヶ丘(0.15)、城北埼玉(0.23)、東野(0.12)といった低い数字の学校は、このまま推移すると、定員ギリギリか定員割れの可能性もある。むろん、併願対象となる公立高校の倍率次第という面もあるので一概には言えず、あくまでも可能性だ。まだ、時間は十分あり、これからが個別相談の山場なので、追い上げを図って欲しい。