恒例、今年の漢字に「金」が選ばれた。これで4回目。シドニー、ロンドン、リオなどオリンピックが行われた年は「金」が選ばれやすい。
 これは、漢検でおなじみの公益財団法人日本漢字能力検定協会のキャンペーンである。
 清水寺が舞台となるのは、かつて清水寺貫主・森清範師が同協会の理事であったからと思われる。
 全国からの投票で選ばれ、書道の達人である同師が、その場で開封し、ぶっつけ本番で書くというイベント。
 なかなか良くできている。

 この種のキャンペーンの成功例としては、ユーキャンの新語・流行語大賞などがある。
 他にも「今年のナントカ」みたいな企画はいろいろあると思う。
 だが、マスコミがこぞって取り上げるのものは、それほど多くない。
 このように季節ネタとして必ずマスコミが取り上げてくれるまでに育てたのは企業努力の結果である。

 ところで。
 私的、今年の漢字はこれだ。 
 
 たまたま入った中華屋のメニューにあった。
 食ってはいない。
 56画だそうだ。
 
 ついでに調べたら、もう一つ強者が見つかった。
 
 雲と龍の組み合わせだから、こっちの方が覚えやすい。
 こちら84画。
 どちらも漢字書き取り100回の罰ゲームに最適。

 もう少し真面目に考えた私的「今年の漢字」は、「稀(まれ)」。
 今年70歳を迎えたので、「人生70古来稀なり」の「稀」
 「稀」は常用漢字ではないので、「古希」とも書く。
 その場合は「希」。
 どっちかというと、希望につながる「希」の方がいいかもしれない。
 ちなみに漢検の今年の漢字では「希」は2941票で7位となっていた。

 あとは何だろう。
 振り返ってみると、これといって何も起こらない1年だった。

 強いて言えば、「退」か。
 引退の「退」、撤退の「退」。
 今まで続けてきた仕事をいくつか止めたし、習慣的に続けてきた行動のいくつかも止めた。
 表向きは体力的なものとしているが、別にこの世界から身を引こうとは思っていない。
 例年通りに飽きてきただけだ。

 年を重ねるだけで人は老いない
 理想を失う時に初めて老いがくる

 ご存知サミュエル・ウルマン「青春」の一節。

 自分にとって「退」は決して後ろ向きの言葉ではなく、「安易を振り捨てる冒険心」(同詩より)につながるものだ。
 (ということにしておこう)