明日1月22日から埼玉県私立高校入試が始まる。
 例年通り、いずれかの私立高校に取材に行くわけだが、それは明日以降報告する。
 ただでさえ気を遣う入試取材だが、コロナ禍の取材はなおさら神経を使う。

 埼玉県内私立高校入試で1月22日は入試解禁日と言われている。
 法律の規定ではなく、私立高校間の申し合わせである。
 何の定めもないと、入試日はどんどん前倒しになる。
 高校側は少しでも日程を早め、受験生を確保したい。
 受験生側も少しでも早く合格を手にしたい。
 両者思いは一緒なので、放っておいたらどんどん早まり、冬休み前に実施ということになりかねない。
 そこで歯止めをかけるため解禁日を設けた。

 22日以降であればいつやってもいいわけだが、いま言ったように、受験生としては少しでも早く合格を手にしたいのであるから、入試日程の早い学校に殺到する。
 そこで各校の日程は、まずは22日、23日に集中する。

 公立入試の場合、実技や面接がない限り一日で終了だが、私立の場合、受験者人数が多いため、1日目の22日は単願受験者、2日目の23日は併願受験者といった具合に分散して行うことが多い。

 公立の先生方は、自ら問題作成することはないが、私立では追試等も含め試験日ごと、学校やコースごとなど多種類の問題作成を自校で行わなければならず、これも大変な業務だ。
 試験から発表まで中一日という場合が多いので、採点業務も忙しい。ただし、こうしたスケジュールもあって多くの学校が機械採点が可能なマークシート方式を採用している。

 受験者が多いから試験監督などスタッフの確保も大変だ。
 監督業務の一部を外注するという手もあるが費用がかさむ。
 私は一時テスト屋もやっていたのだが、世の中にはいろんな会社があるもので、学生アルバイトではない試験監督専門のスタッフを派遣する会社もある。考えてみれば、日本国内では毎週のように各種国家試験や資格認定試験等々が行われているから、そういうビジネスがあっても不思議ではない。内部スタッフで賄えない時は、こうした人材派遣会社を頼る。
 が、監督慣れしているから仕事は確かではあるが、外注費(人件費)がバカにならない。それに、50校近い学校が一斉に試験を実施するとなれば人数確保も容易ではない。
 といった事情があるのかどうか、高校生(在校生)を補助スタッフとして使っている学校もある。公立の入試しか知らなかった私は最初、試験の場に高校生がいることに違和感を覚えたが、今は当たり前の風景として受け止めている。

 公立の場合は、最終的には職員会議(選抜会議)を経て合格者決定の運びとなるが、受験者が多く、かつ発表まで時間がない私立の場合、こうした手続きは省略されることも多い。高校入試ではないが、中学入試では即日発表ということあるので、あらゆることがスピード重視にならざるを得ない。
 近年は出願もインターネット、発表やその後の入学手続きもインターネットという学校が増え、先生方や事務方の仕事量もだいぶ軽減した。
 入試は学校にとっても、むろん受験生にとってもきわめて重大なことなので慎重が上にも慎重を期して行われなくてはならないが、一方これは教育そのものではないのである。教育に合理化はなじみにくいが、入試に関わる業務の合理化は進めていいだろうと私自身は考えている。

 以上、私立の先生にとって、また塾の先生にとっては当たり前すぎる話で、何を今さらといわれそうだが、なにせ公立の先生の中には、わが子が受験生でもない限り、明日が何の日か知らない人もいるものだから、このような話となった。