今日取り上げるのはコチラのニュース。
 「KADOKAWA、従業員の資格取得に最大100万円の報奨金 情報処理や語学などが対象」

 この記事の元になっているKADIKAWAのニュースリリースはコチラ。
 「全116種の資格取得に奨励金を支給へ KADOKAWA、社員の自律的なキャリア形成を支援」

 KADAKAWAは、子会社にドワンゴを擁し、ここが中心となって通信制N高校・S高校や学習アプリ「N予備校」を展開しており、教育分野への進出に熱心である。
 そういう会社が、授業員の資格取得を奨励し、奨励金を出そうというのは、何となく納得できる。
 今は主たる対象がN高・S高生である「N予備校」を、一般向け資格取得講座に拡大して行こうとしているのかもしれない。

 今のところ、授業員の資格取得を積極的に支援しようという会社はそれほど多くない。
 しかし、これが広まれば、市場の拡大が見込まれる。
 まずは自らがやってみせ、そのような風潮を広め、いずれ自ら刈り取る。
 よくは分からんが、そういう戦略ではないかと思っている。

 数多ある資格の中で、それ一本で食っていける資格など微々たるもので、あとの資格はほとんど取っても食えない。
 食える資格の大部分は、大学や大学院での勉強が必要だし、実務経験が求められるものも多い。
 こうしたことから、KADAKAWAのこの度の施策は、授業員の資質向上を目指したものではないと思われる。
 
 ただ、会社の福利厚生としてこのような制度があると好感度は上がり、採用面では貢献しそうだ。

 資格取得を支援すると、優秀な人材の流失(転職や独立)につながってしまうのではと心配する人もいるだろう。
 せっかく支援しても、会社を辞められたのでは確かに損失だ。
 だが、繰り返しになるが、転職や独立につながるような資格や技能などは、そうそう簡単に取れるものではない。
 全員無理とまでは言わないが、仕事と両立できる人は僅かだろう。

 中には資格を武器に独立しようとか転職しようという人も出てくるだろう。
 しかし、そういう甘い見通しで行動するような人は、会社に損失を与える人ではないのだ。
 だから、辞めてもらって結構。
 そういう人が一定数いれば、授業員の新陳代謝が促進されるというものだ。

 少子高齢化に伴い、定年年齢も延びている。
 これは企業側から見た場合、大きな負担だ。
 20代で採用し、30代、40代と元気に働き、給料と会社への寄与度が釣り合わなくなった50代で辞めてもらう。
 こういうサイクルで回していったほうが絶対にいい。
 
 というわけで私は、KADAKAWAのこの施策を、従業員に長くとどまってもらうためではなく、早めにやめてもらうためのものではないかと理解した次第である。