入学試験シーズンに付き物の出題ミス、採点ミスに関するニュース。
 今年もたくさんあった。

 「受験生の一生がかかってるんだ。もっと真剣にやれ!」
 当然、そんな声が上がってくるだろうが、いい加減な気持ちで臨んでいる人などいるはずがない。
 別にミスを許容するつもりはないが、ミスはある程度避けられない。
 ミスゼロを目指してシステムを改善するしかないのだ。

 今年度公立入試で話題になったのは、関東地方では茨城県だろう。
 茨城県では昨年、大量の採点ミスが見つかり、1000人を超える教員が処分される結果となり、再発防止のため様々な対策が講じられた。

 改善策?のきわめつけは今年度の学力検査問題だ。
 記述問題がすっかり無くなってしまったのだ。
 ここでは一例として国語を取り上げる。
 まだの方は、コチラを見て欲しい。
 「2022茨城県公立高校入試 国語解答用紙」
 いくら何でも、これはやり過ぎ。
 そう、思った人は多いだろう。
 なにしろ、漢字の読み書き問題以外は全部記号選択式なのだ。

 国語だけではない。
 数学に証明問題なし、英語に英作文なし。
 社会・理科も用語等で答える問題は1~2問で、他は全部記号選択。
 まあ、ここまでやれば、採点も早いし、ミスも減るだろう。
 だが、一方で思考力・判断力・表現力が大事と言っておきながら、これはないだろう。
 
 採点ミスをなくすための方策がこれだとしたら、ちょっと情けない。

 が、この茨城県の方向性は決して例外的なものではない。
 東京都や神奈川県の学力検査は、とっくにその方向に行っているのである(東京の自校作成問題や神奈川の特色検査は別として)。
 これらについても、まだの人は、コチラで確認してもらおう。
 「2022東京都立高校入試 国語解答用紙」
 「2022神奈川県公立高校入試 国語解答用紙」

 記号選択式やマークシート方式になったからといって、問題の質がそれほど低下したとは思わないが、記述させることにより確かめたい学力(能力)というものもあるだろう。
 ミスの責任を問われることを恐れ、このような方向に進んでいるとしたら、残念なことだ。
 オール記述にせよと極端な話をするつもりはないが、せめて3割程度は記述も残したほうがいいと思う。

 今のところ、わが埼玉県においては、大規模な採点ミスが起きていないこともあってか、記述問題も十分取り入れた出題となっている。
 「2022埼玉県高校入試 国語解答用紙」
 千葉県、群馬県、栃木県なども同様に記述問題を取り入れているが、こうした方針がどこまで貫けるかだ。
 
 ところで。
 茨城県は採点ミスにばかり目を奪われているうちに、今度は集計ミスをやらかしてしまった。
 「茨城県立高入試、集計ミス 石岡一、1人追加合格 県教委」(茨城新聞)
 それだけではない。
 出題ミスもあった。
 「茨城県立高入試で出題ミス 「社会」地図に誤り、選択肢に正解なし 全員正解に」(茨城新聞)
 しっかりしろ茨城県教委。
 なんだが、不幸な出来事はしばしば連鎖するものだ。
 気を取り直して、再発防止に努めてもらおう。