県立浦和高校(浦高)の学校説明会(学校自身は「教育活動説明会」と称している)に行ってきた。
先週土曜日は浦和一女の塾説(教育関係者対象説明会)、そして今週は浦高の学校説明会。入試シーンは確実に変貌しつつある。
もちろん、両校には昨年度入試における思いもかけぬ低倍率という明確な動機があるわけだが、すでに多くの学校が旧年度内に次期3年生向け説明会を実施しており、説明会の早期化は誰の目にも明らかだ。
加えて、授業料実質無償化を背景とする私立の攻勢はますます減げしさを増すことが予想され、さらには9年度公立入試改革による全校面接実施や調査書様式変更などが受験生に大きな不安を与えている。
ここで動かない手はない。
と、われわれのように外部から入試シーンに関わっている者はみなそう思うのだが、何があろうと微動だにしないのが浦高や一女のような伝統校だ。
だが、ついに巨象が動いた。
令和8年4月25日は埼玉県の高校入試界とって歴史的な一日だったかもしれない。
今回、この時期の説明会実施はトライアル(試行)であって、次年度以降定着するかどうかは分からない。
ただ、今日は川越高校が塾関係者対象の公開授業(学校説明もあり)を開催されるなど、公立トップ校の動きは確実に早まっている。
◆リーダー育成がミッション
今年度赴任された杉田和明校長(前職は県教委・県立学校部副部長)の挨拶は要約すると次のとおりである。
「本校は「難関大合格」の先を見据え、不安定な国際情勢のなかで世界と互恵的に関わるリーダーを育てる「全人教育」を掲げている。授業を教育の主柱と捉え、独自教材や探究活動、芸術等を含む幅広い学びを重視している。これら学問と、行事や部活動で培う強靭な精神は対立するものではなく、互いに相乗効果を生むものである。
本校には夜9時まで切磋琢磨し、教え合う「学習共同体」としての風土がある。自律した仲間と共に高みを目指すこの舞台で、皆さんの無限の可能性を最大化させていただきたい。生涯の友を得て、時代に応える資質を共に磨けることを期待している」
◆英数傾斜配点で難問への挑戦うながす
続いて教頭から入試に関する説明があった。
9年度入試では英語と数学で傾斜配点が導入される。
これについて、「難易度の高い学校選択問題に対して配点を多く振り分け、受験生が難問に果敢に挑戦することを促す意図だ」と説明された。
「(点数の取りやすい)他教科に逃げるのではなく、全教科で挑戦する姿勢を求める」ということだ。
浦高受験者レベルになると、おそらく理科・社会や国語は90点台の高得点を取る人がほとんどで受験者間の差は付きにくいのが実情だろう。
差がつくとすれば、「学校選択問題」を採用している英語と数学だ。そこで、ここに傾斜配点を持ち込み、各受験者の実力差をより鮮明にしようということだろう。
トップ校として当然の姿勢であり、1.5倍(150点)と言わず、2倍(200点)でもいいくらいだ。
面接については詳細な説明はなかった。
現時点で公表可能な情報がないというのが表向きの説明だが、一次選抜では「30点/810点」、二次選抜では「30点/765点」と、面接の比重は小さい(一次で3.7%、二次で3.9%)。
細かい説明をしないのは、面接の心配をするより、学力検査対策に集中せよという無言のメッセージであろう。
◆浦高が追求する教育の真髄とは
教育活動全般に関する説明は、同校OBでもある齋藤教諭が担当された。
授業、学校行事、部活動など学校生活全般について具体的な説明があった。
なお、説明にはスライドが用いられた。これに関する配布資料は特になかった。
主な内容は以下のとおりである。
「浦高教育の核心は、単なる学力養成にとどまらない。『本気で経験し、失敗し、そこから成長する』ことを学ぶ、骨太な人間教育の場である」
「浦高を象徴するのは生徒たちの圧倒的な熱量だ。早朝6時台からの自主学習にはじまり、夜は部活を終えた午後7時から再び教室に戻り、仲間と切磋琢磨しながらペンを握る。この「自走する力」を支えるのが、満足度96%を超える質の高い授業と、生徒に寄り添う教員のきめ細かなサポートだ。あえて過度な管理をせず、失敗を成長の糧にさせる指導方針が、生徒の自主性を引き出している」
「浦高を語る上で欠かせないのが、限界に挑む伝統行事だ。50kmを走破する古河強歩大会や、荒波を仲間と泳ぎ切る臨海学校など、心身を鍛え上げる機会が数多く用意されている。こうした経験を通じて育まれる「粘り強さ」や「協働力」こそが、本校の進学実績の土台となっている」
「異性の目を気にせず、好きなことに没頭し、何事にも全力で取り組むことが『かっこいい』とされる文化。そこには、時代が変わっても揺るがない、次代のリーダーを育む理想の教育環境が広がっている」
◆現役高校生の圧倒的な表現力
途中、グリークラブによる校歌の披露をはさみ、最後は3年生2名によるパネルディスカッションが行われた。
これまでの浦高説明会では、常に卒業生が登場していた場面だが、今回は現役生だった。
大学生と高3生。中学生から見ればどちらもはるか年上の大人なのだが、やはり現役高校生の方が身近に感じられるだろう。この人選は非常に良かったと思う。しかも、この二人、とてつもなく言語化能力が高い。
ここまで先生方の口から語られた浦高生活を生徒目線で解説。先輩二人の説明力・表現力にある意味圧倒されたかもしれないが共感する部分も多かっただろう。今回説明会の中では最大のヒット企画。

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