埼玉県は24日、県立高校における感染対策ガイドラインを改め、文化祭の一般公開や部活動の合宿を解禁する方針を決めた。
埼玉新聞では次のように報道している。
「高校生の声届く 文化祭の一般公開解禁へ 埼玉県が専門家会議、きょうにも新ガイドライン」(埼玉新聞)
上記はWEB版ニュースの見出し及び記事である。
なお、紙版の埼玉新聞では1面トップで次のような見出しで報じている。
「県コロナ会議 文化祭公開解禁へ 県立学校 部活動の合宿も」
両者の大きな違いは、「高校生の声届く」の文言が有るか無しかだ。
WEB版ではPV(page view)を稼ぐために、読者が食いつきそうなフレーズを使う。
それに、4日前(5月21日)に「文化祭、一般公開を 6月開催の春日部高校、生徒会が県教育長に署名提出」(埼玉新聞)という記事を配信しているから、ストーリーとしても、このほう好都合だ。
高校生が立ち上がり、各校連携して署名活動を行い、自分たちの願いを届けた。
県や教育委員会はそれを受けて、文化祭の一般公開や合宿の解禁を決めた。
なんて美しい展開なんだ。
だが、残念ながらそういう話ではない。
世の中、そう簡単には動かない。
政治や行政はそんな急には動かない。
20日に署名が提出されて、4日後の会議までに方針の大転換。
仮にそんなことがあったら、あらゆる角度からきちんと検討したのか、と大問題になる。
ここに来て政府の姿勢や世論も急速に変化している。
それに合わせて教育活動を元に戻すためのガイドライン改定を進めていた。
そこにタイミング良く、高校生の活動が重なった。
大方そんなところだろう。
ただ、さすがにマスコミは上手いなと思うのは、見出しに「高校生の声届く」と謳っていながら、署名活動のことはまったく触れず、高校生の「高」の字も、生徒会の「生」の字も登場させていないところだ。
今回の方針転換が高校生の活動の結果ではないことを分かっているのだ。
私のようにすぐにツッコミを入れるへそ曲がりがいても、単に「声が届いた」と言っているだけで、活動の結果とは書いていないでしょうと言い訳できる。
「子供の声届く 連日の雨あがり、運動会」
これって、雨があがったのは子供の活動の結果という意味になります?
ならないですよね。
単に、子供の願いが叶ったというだけでしょう。
「高校生の声届く」もそれと同じですよ。
と、いざとなったら言い逃れできる。
それでいて、「そうか。高校生の活動が功を奏したのか」と勝手に想像してしまうに十分な見出し。
なかなか良く考えられている。
で、こんな皮肉たっぷりの見方はさておき。
学校臨時休業下に入学し、授業も行事も部活も、さまざま制限された中で最終学年を迎えてしまった高校3年生にとって、この度のガイドライン改定は朗報だ。
1年では足りないかもしれないが、「失われた2年間」をできるだけ取り戻してもらおう。
【追記】5月26日
5月26日、感染対策ガイドラインの改訂版が発表された。
「県立学校版 新型コロナウイルス感染防止対策 ガイドライン 」
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