本日(7月15日)、埼玉県教育委員会から令和5年度入試の各校選抜基準が発表された。
 昨年が7月9日だったから、やや遅い発表となった。
 ただ、変更した学校は少なく、ほとんどは昨年どおりなので、少しぐらい遅くても、どうということはない。

 それよりも、個人的には前年度入試(令和4年度入試)の結果解説を早く発表してほしい。
 総合教育センターのHPには7月下旬発表となっていたので、再来週まで待たなくてはならない。

 本日県教委発表資料はこちら。↓
 令和5年度埼玉県公立高等学校入学者選抜における各高等学校の選抜基準

◆変更しても何も起こらない
 毎年書いていることだが、ここに一つの法則がある。
 「募集がうまく行っていない学校ほど、意味なく選抜基準をいじくり回す」

 何かを変えなければ。
 そういう思いの現れであると好意的に見るようにしているが、選抜基準を変えたところで何も起きない。
 
 私立入試であれば、期日を変える、試験科目や内容を変えるなど、様々な手が打てる。
 それによって受験生の動きを変えることも可能だ。
 上手く行けば、受験者数を増やし、受験者層を変えることもできる。

 だが、同じ日に同じ問題で行われる公立入試では、それは無理だ。
 良くも悪くも完全にパターン化されているのだ。

◆募集における二つの課題
 高校側から見た入試選抜には二つの大きなテーマがある。
 一つは、いかにして量的な成功を収めるか。
 もう一つは、いかにして質的な成功を収めるか。

 量的な成功とは、受験生を多く集め、倍率を高めることと考えていい。
 私立の場合であれば、経営に直結する問題だ。

 倍率が高まれば、合格最低ラインが引き上げられる。
 つまり、下位層がカットされる。
 その意味では、質的な成功にもつながると言えないこともない。
 だが、倍率が上昇することと、上位層を獲得できることとは必ずしもイコールではない。

 そこで求められるのが質的な成功だ。
 質的な成功には、早くから第一希望であった生徒を集めるとか、目的意識が明確である生徒を集めるという意味もあるが、ここでは学力上位者を獲得するという点に絞ろう。
 学力上位層を獲得できれば、出口の好結果(大学進学結果など)が期待できる。
 そして、それが次の募集に生きる。

 量的な成功と質的な成功。
 どちらか一方に偏してはならない。
 バランスを取りながら進めて行かなければならない。

◆定員割れ校の取るべき行動
 公立は経営上の収支を気にしなくていい。
 ただ、税金で回している学校が、施設設備や人員を半分以上余らしていいのかという問題も一方にはある。

 だから、現状定員割れ状態である学校が、何とか箱を埋めようとする行動が間違っていない。
 定員に満たずとも、せめて8割9割は埋めてもらいたいものだ。

 問題は、そのための行動が、選抜基準をいじくり回すことかどうかという点だ。
 受験生が見ている数字は偏差値だけだ。
 調査書の学習の記録が「1:1:2」だろうが「1:1:3」だろうが大した問題ではない。
 特別活動やその他の記録の得点が何点だろうが、そんなものはどうでもいい。
 ちょっと気になるのは、面接があるかどうかくらいだろう。

 受験生が溢れかえっている学校や、倍率が上昇局面にある学校は、選抜基準の変更が受験生の量や質の変化につながる可能性がある。
 大きな変化はないが小さな変化は確かにある。
 だが、定員割れが常態化している学校は、いかなる基準であろうと全員が合格するから、基準変更の意味はほぼ皆無と言っていい。

 基準変更ははじめの一歩である。
 学校の魅力を伝え、一人でも多くの志願者を獲得できれば、そこで初めて変更の意味が出てくるのだ。
 引き続き頑張っていただきたい。