小さなニュースなので、見逃した人が99.9%だろう。
近ツーの“PTA代行サービス”が好調 背景に「できれば引き受けたくない」親の究極の選択
修学旅行で学校とは縁の深い近畿日本ツーリストが、PTA代行サービスを開始したという話題だ。
記事の冒頭、「近畿日本ツーリストが8月25日から始めた新サービスがちょっとした話題になっている」とある。
よくある書き出しだ。
自社の商品やサービスが「話題になって欲しい」会社がマスコミに持ち掛けて記事にしてもらう。
よくあるやり方だ。
「この1カ月あまりで、保護者や学校から約40件の問い合わせがありました」(記事より)。
あまり反響ないじゃないか。
近ツーが新サービスに関するリリースを発信したのが8月25日。
「PTA業務アウトソーシングサービス」(近ツーのサイト)
全国展開している会社だぜ。
それが多少数字を盛って1日1件程度。
3ケタは来ないと。
近ツーとしては日刊ゲンダイではなく大手紙に取り上げて欲しかったところだろう。
残念、近ツー。
ただ、問い合わせはそんなものでも、Yahoo!ニュースが取り上げたので、それなりに話題にはなっている。
しかしヤフコメは、そもそもPTAは必要なのかと、そっちに展開している。
そういう話じゃないと思うが。
旅行業界は苦境に陥っている。
近畿日本ツーリストを傘下に持つKNT-CTホールディングス株式会社の売上高を調べてみた。
2018年3月期 411.821(百万円)
2022年3月希 139.967(百万円)
むろんこれはコロナの影響をもろに受けた結果であるが、それにしても半分以下とは。
コロナが収束すれば上向くだろうが、修学旅行なども少子化の影響で売上の増加が見込めない。
何か新事業に活路を見出さなければ。
ということで知恵を絞り、さまざまな新規事業開拓に挑んでおられる。
頑張れ、近ツー。
では、なんでPTA代行か。
答えは簡単。
とりあえず営業ルートが確保されているから。
私も学校関係の仕事をしているので分かるが、学校に入り込むのは容易ではない。
どこぞの会社が「新商品、新サービスのご案内です」と言ったって、そう簡単には会ってくれない。
そりゃそうだろう。先生はそんなに暇じゃない。
その点、旅行会社はいい。
すでに関係が出来ている。
頻繁に出入りしているので営業担当者も顔や名前を覚えられているだろう。
で、いつものように学校に行って「今度新しいサービスを始めました」とやればいい。
つまり、新規の営業開拓のためのコストがほぼゼロで始められる。
これが「何で旅行会社がPTA代行?」の答えだ。
とりあえず近ツーは以下のようなサービスを予定している。
1 印刷・デザイン
広報誌などの印刷、デザイン、封入発送など
2 WEBサイト作成
PTA専用ページの開設など
3 人材派遣
行事の受付、事務作業など、人手不足の時に
4 イベント関連
学校行事やPTA主催イベントの企画~運営、ライブ配信のプロデュースなど
5 出張授業・学習支援
普段の授業や家庭学習では得られない学びをPTA主催の講演会や特別授業で
以上、近ツーのサイトより。
別に難しいことは何もない。
なぜって、「3 人材派遣」を除いて、うちの会社でもすでに実績があるサービスばかりだから。
たぶん実際の業務は下請け会社に出すんだろうが、どれも大した売り上げにはならんね。
でも最初からそんなことは分かっている。
こうしたサービスを通じて、学校とのつながりをさらに強化し、本業の旅行につなげる。
そういう話だ。
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