令和5年度埼玉県高校入試、第1回進路希望状況調査の考察は続く。
 この調査は、県内私立中学校に通う生徒も調査対象となっている。
 よって、あまり話題にならないが私立高校希望者数も発表されている。
 本日はそこにスポットを当ててみる。

 まず概要。
●私立中学校卒業予定者数 3282人
●進学希望者       3254人
●全日制希望者      3241人
●県内私立希望者     3185人
 私立中学校に在籍している生徒は、基本的には系列の高校に内部進学するはずだが、卒業予定者数(3282人)と県内私立希望者(3185人)の間には97人の差がある。
 これは、県内公立23人、県外私立33人など系列以外の高校を希望している者がいるためである。

◆私立希望者は1万158人で前年より増加
 第1回調査では県内私立高校希望者は1万158人だった。
 これは前年同期の9831人より327人多い。
 前述したように、内部進学を希望している者は3185人であるから、公立中学校の県内私立高校希望者は(10158-3185)で6973人ということになる。

◆学校別希望者数
 
 公立同様に(希望者数÷募集人員)という計算をすれば、例年どおり現時点ではほとんどの学校が定員割れ状態である。
 募集人員以上の希望者がいるのは、浦和ルーテル学院と立教新座の2校だけだ。
 しかし、公立と異なり県外からの希望者もいるわけで、それらは今回の調査対象となっていない点に注意が必要だ。

◆県外中学校からの入学者が多い学校
 参考に、今春の入学者のうち県外中学校からの入学者の割合が高かった主な学校を挙げておこう(10%以上)

 慶応志木    59.4%
 早大本庄    53.9%
 東野      40.5%
 自由の森    28.5%
 秀明      21.0%
 立教新座    19.4%
 昌平      18.7%
 本庄東     16.3%
 花咲徳栄(普) 15.8%
 栄東      12.5%
 聖望学園    12.4%
 本庄第一    11.5%
 狭山ヶ丘    10.9%

 以上のように、慶応志木や早大本庄などは県外中学校からの入学者の方が多い。
 重ねて言うが、県外の中学生の希望状況は今回の調査からは見えてこない。

◆現時点で希望者の多い学校
 県内私立希望者は、慶応志木・早大本庄・立教新座などを除けば、内部進学者と単願希望者で構成されていると見ていい。
 単純に希望者数で見た場合、埼玉栄をはじめ規模の大きな学校が上位に並ぶ。

【希望者数 多い順】
 埼玉栄  676人
 開智   464人
 浦和実業 434人
 浦和学院 420人
 星野   366人
 叡明   332人
 栄東   319人
 大宮開成 302人
 立教新座 302人

 以上は募集人員を考慮せず単純に希望者数順並べてみたものだが、今度は募集人員を考慮し、現時点でそれに対し、どれくらいの希望者が集まっているかを割合で見てみる。
 つまり定員充足率(仮)のようなものである。

◆現時点における定員充足率
 以下は(希望者数÷募集人員)であるが、中高一貫校の場合、希望者の中に内部進学者も含まれる。

【定員充足率(仮) 高い順】
 浦和ルーテル学院 125.3%
 立教新座     107.9%
 
 埼玉栄      93.9%
 開智       85.9%
 早大本庄     85.6%
 栄東       79.8%
 獨協埼玉     79.4%
 淑徳与野     74.2%
 栄北       67.5%
 東京農大三    66.0%
 城西川越     64.2%
 叡明       63.8%
 

 県内私立のほとんどが、単願と併願の両方で集めるという募集構造になっているが、今回調査では併願希望者の数は分からない。
 たとえば、埼玉栄の場合は、現在の希望者は内部進学と単願であろう希望者を合わせると、募集人員720人に迫る676人に達している。これに併願で(つまり公立を落ちて)回って来る人数を加えると募集人員を大きく上回る入学者になるであろうことが予想される。

【定員充足率(仮) 低い順】
 武蔵野音大附   10.0%
 東野       20.9%
 秀明英光     27.0%
 細田学園     30.8%
 狭山ヶ丘     36.5%
 東邦音大東邦第二 37.5%
 東京成徳大深谷  37.7%
 埼玉平成     42.0%
 本庄第一     42.1%
 武蔵越生     43.4%
 
 今春、併願入学者の方が単願入学者より多かったのは、大宮開成・開智・栄東・武南など限られているので、これらの学校は今後、単願希望者を増やして行かないと最終的に定員割れとなる可能性がある。
 秋草学園(49.2%)、大妻嵐山(47.8%)、武蔵越生(43.4%)なども、もう少し単願を増やしておかないと前年に続いて大きく定員を割る可能性がある。

◆あと1か月が勝負
 今回、10月1日現在の調査で見てきたが、私立の個別相談が本格化したのは10月に入ってからであろう。
 したがって、今日現在で調査をしたら、また違った様相を見せるはずだ。
 第2回調査(12月15日現在)の結果に注目しよう。