東京工業大学が入試に女子枠を導入するということで、ちょっとした話題になっている。
ニュースとしてはこちら。
東京工業大学 入試に143人「女子枠」導入へ・・・専門家も驚き「思い切った取り組み」
東京工業大学の受験生向け公式サイトはこちら。
東京工業大学が総合型・学校推薦型選抜で143人の「女子枠」を導入 ダイバーシティ&インクルージョンの推進を目指して2024年度入試から順次実施
都立高校の男女別定員が廃止に向かっている時代に、わざわざ女子枠か。
ダイバーシティだのインクルージョンだの流行の言葉を使っている割には、発想が古風だなという印象。
女子学生をもっと増やしたい。
これはまあ、良しとしよう。
ますます加速する少子化を考えれば、女子市場を開拓したいという考えは理解できる。
しかし、その手段が女子枠導入でいいのかどうかは疑問だ。
はたして女子の受験生が、女子枠狙いで大量に受験してくるかどうか。
男女を区別しない一般枠と併願できる点からも有利には違いないが、その程度のことが受験動機になるのかどうか。
入学してから「どうせ女子枠でしょう」と言われかねないわけだし。
当たり前の話だが、入学者を増やすには受験者を増やさなければならないわけである。
だから女子の入学者を増やすには女子の受験生を増やす。
受験生が増えれば、それに比例して入学者も増える。
これが王道だ。
募集戦術としては、推薦枠を増やす、面接や小論文を導入する、理数の配点を下げ英語の配点を上げるなどすれば、結果として女子有利になる可能性が高い。
が、これは男女含めた受験生全体をレベルダウンさせる恐れがある。
また、女子有利となれば、男子に敬遠されるかもしれない。
そこで、男子に逃げられないために女子枠。
そういう作戦なのかもしれない。
しかし、これらは入口の入試のあり方の問題である。
肝心なのは教育の中身だ。
ここに女子が魅力を感じるような学系・学科・コースが用意されているのかどうか。
そしてさらに重要なのは、出口の進路(就職)が保証されているのかどうか。
ただ、この点は、受け入れ側の企業にも責任があり、大学だけの問題ではない。
女子がバリバリの理学系・工学系を選ばないのは、ただ単に数学や理科が苦手というだけでなく、「出てから就職できるの?」「会社に入って仕事続けられるの?」という点が大きいのではないか。
女子が生物・化学系や、医療看護系、資格取得系に走る理由はこの点にあるように思う。
東京工業大学はこうした点について、どのような答えをお持ちなのか。
それに答えず、ただ「女子に優しい入試になりました」というだけでは、女子受験生殺到とはならないだろう。
私は、大学入試は守備範囲外なので、以上は単なる感想である。
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