県立高校における生徒用タブレットは自己負担で。
11月25日、埼玉県教育委員会はタブレット端末の費用負担について方針を発表した。
県立高校等で生徒が使用するタブレット端末の費用負担について(11月25日)
令和5年度からの端末導入は既定の方針通りである。
その方針は、令和3年12月に「埼玉県学校教育情報化の方向性」として示されている。
まず第一段階。
「県立高等学校については、生徒所有の端末を教育活動に活用する、いわゆるBYOD方式により校内通信環境の整備をしたところであり、生徒所有の端末には、当面の間、スマートフォンを含むものとしています」(一部省略あり)
BYODは「Bring your own device」の略で、生徒所有のICT機器を学校に持ち込むことである。
ICT機器とは通常パソコンやタブレットであるが、応急措置としてスマホも含むことにした。
次に第二段階。
「県立高校等においては、タブレット端末の標準仕様を示して購入を促す、学校が保護者と販売事業者の間に入り一括での購入手続を行うなど、BYODを前提に令和5年度入学生からタブレット端末等による1人1台端末環境を目指します」(太字は筆者による)
ということで、令和5年度から生徒所有のタブレット端末を導入するのは、既定路線であった。
すでにGIGAスクール世代が高校に入学していることを考えれば、もう少し早めてほしかったが、さまざまな事情があったのだろう。
学校ごとバラバラだった方向が一つになった。
5年度入学生から学年進行で一人一台端末環境を整えて行く。
これで「iPadを導入しました」は、学校のウリではなくなった。
ちょっと前まで、全員がタブレットやクロムブックを持っていることは、それ自体学校のウリになった。
特に私立は、それによって先端イメージを醸し出すことができた。
しかし、こうして県立が校内WiFi環境を整え、全教室に単焦点プロジェクターを設置し、さらには一人一台端末を実現するに至って私立のハード面でのアドバンテージはなくなった。
ただ、かなり早い時期にタブレットを導入した学校は、ノウハウの蓄積が進んでおり、そう簡単には追いつかれないだろう。
しばらく様子見をしていて、最近になってようやく導入を決断した私立は、先行者としての利益を享受できないばかりか、後発者にあっという間にキャッチアップされる。
その昔、佐藤栄学園創業者の佐藤栄太郎先生が、「公立を甘く見てはいけない。向こうは税金を使って、やる時は一気にやってくる」と、言っておられた。
GIGAスクール構想にしても、今度の県の決定にしても、結局そうなった。
一歩先なんていうのはリードのうちに入らない。
二歩、三歩先でもセーフティーではない。
私立はもっと先を行かなければならない。行ってほしい。
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埼玉新聞社高校受験ナビに掲載の記事である。
公立については、次回第6回の平成時代創立編で完結。
その後は私立編を書く予定だ。
【埼玉県公立高校の歴史を紐解く】第5回 昭和時代(高校急増期)創立編
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