皆さん。時間があったら、Yahoo!でもGoogleでも、はたまたYouTubeでも、「動詞で考える」と検索してみてほしい。
 いろいろ出て来ると思う。

 多くの人がこのように言っている。
 たとえば、「野球やサッカーが好き」、「料理が好き」、「旅行が好き」というのは、野球、サッカー、料理、旅行といった名詞で考えているのだ。
 そうではなく、野球で言うなら、「野球をする」のが好きなのか「野球を見る」のが好きなのかという具合に動詞を持って来て考えろというのである。
 そこまで言うなら、「野球を楽しくする」のが好きなのか、「野球を勝負をかけてする」のが好きなのかと、もう一歩も二歩も踏み込んでもらいたいところだが、とりあえず話を簡略化しよう。
 
 動詞を持って来い。
 これが将来の進路や職業を決める時の極意だ。

 たしかに「する」と「見る」とでは大違いだ。
 東京ドームに行ってみれば、両軍合わせて50人ほどの選手が「野球をする」のであるが、その1000倍の5万人はお金を払って「野球を見る」のである。
 見る人も、する人も、野球が好きなことに違いはないが、見る人には簡単になれるが、する人になるには想像を絶する努力が必要だ。
 
 ワールドカップで盛り上がっているが、そこで「サッカーをする人」は、わずか20数人だ。
 それ以外の数百万人、数千万人は「サッカーを見る人」。
 なかには「現地まで行って応援する人」もいる。
 「居酒屋に集まって盛り上がる人」もいる。
 「監督の采配や選手のプレーを批判して自己満する人」もいる。
 確実に言えるのは、今現地で戦っている20数人のほかは、別に大した努力をしなくてもできるということだ。
 
 「旅行が好き」も然り。
 「旅行が好き」だと旅行会社に入った瞬間、旅行が旅行でなくただの出張になる。泊りがけの業務になる。
 旅行を楽しみたいなら旅行会社の社員になるべきではない。

 世の中には、生産者と消費者がいる。
 アニメでもゲームでも、他の娯楽でも、そこには必ず生産者(作る人)がいる。
 
 生産者はそれほど多くは必要としない。
 したがって、そこには必ず競争が生じる。

 一方、消費者は多ければ多いほどいい。
 そして消費者には競争はなく、誰でもなれる。

 動詞で考えろの、その先には、「あなたは生産者になりたいのか、消費者でいたいのか」という問いが待っているのではないか。
 そう考えるわけである。

 年齢が低ければ、「夢がかなうといいね」と言っておけばいいが、高校生くらいになれば、そうも行かないだろう。
 あなたは努力と才能を競う生産者を目指すのか。
 それとも消費者として楽しみたいのか。
 そういった問いかけが必要だろう。

 もちろん、消費者でいることが悪いわけではない。
 生産した商品やサービスを消費する人がいて世の中は成り立っているのだ。
 消費者あっての生産者。
 
 今日はなぜこの話かというと、「好きなことを仕事にしたい」という若者から相談を受けたからだ。
 たしかに苦手や嫌いなことを仕事にするよりはずっと良さそうだ。
 だが、仕事にしたいということは今も言ったように生産者の側に回りたいということである。

 ならば、過酷な競争に挑む覚悟はできているか。
 さらに重要なのは、そのために今、具体的にどんな準備をしているかだ。
 始めてもいない人間にアドバイスなんてできるわけないじゃないか。
 という話で今日は終わった。