時節柄やむを得ない部分もあるが公立入試ネタが続いている。
 公立の先生方だけでなく、私立の先生方や塾の先生方にとっても関心事であろうと思い、書いているわけである。
 
 さて、今日は入試を離れ、かねてより、これは一応書いておかねばと思っていたニュースに触れる。
 
 この言葉、注目しておこう。
 教育関係者であれば頭の片隅に入れておこう。
 「ウェルビーイング」。

 英語では、well-being。
 訳せば、健康で幸福な状態、良好な状態といったところか。
 が、あえて日本語には訳さず、そのまま使ったほうがいいようだ。

 文部科学省・中央教育審議会教育振興基本計画部会が、「次期教育振興基本計画」について答申(案)を出している。
 中央教育審議会教育振興基本計画部会(第13回)会議資料
 ここに多くの資料が掲載されているが、全体を知るには「資料2」を読むことだ。
 A4判76ページあるが、ウェルビーイングについては、とりあえずP10の終わりからP12の始め。
 全体像を見るには「資料3」でもいいだろう。
 ウェルビーイングだけなら「資料8」でもいい。

 ●経済先進諸国においては、経済的な豊かさのみならず、精神的な豊かさや健康までを含めて幸福や生きがいを捉える「ウェルビーイング(Well-being)」の考え方が重視されてきている
 ●個人と社会のウェルビーイングは「私たちの望む未来(Future We Want)」であり、社会のウェルビーイングは共通の「目的地」とされている
 ●本計画では 2040 年以降の社会を見据えた教育政策におけるコンセプトとも言うべき総括的な基本方針として「持続可能な社会の創り手の育成」及び「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を掲げる。

 ということだ。

 個人的な注目点の一つは、「子供たちのウェルビーイングを高めるためには教師をはじめとする学校全体のウェルビーイングが重要」というところだ。
 これは、しっかり考え、実行してもらいたい。
 学校は児童生徒が主役であることに異存はないが、もう一人の主役は先生と言っていいだろう。
 先生が「不健康で不幸な状態」で、児童生徒のウェルビーイングが実現できるとは思えない。

 このブログでは、「顧客満足より従業員満足」という話を何度か書いていると思う。
 「学校の管理者である校長は、生徒満足より先生満足を考えるべきだ」
 「先生満足が向上すれば、先生方は黙っていても生徒満足に向かう」
 「先生満足を犠牲にした生徒満足などあり得ず、短期的に成功したかに見えても持続は不可能」

 教員のなり手不足を背景に、埼玉県教委も教員希望者を増加させることに躍起になっている。
 「大盛況!高校生のための教員志望者説明会」
 こんな試みが県内各高校で行われている。
 これ自体悪いことだとは思わない。
 とりあえず教育学部に進んだり、教職課程を履修してもらわないと話にならない。

 だが、せっかく生徒がその気になっても、日々の授業でくたびれ切った姿や意欲の感じられない姿を見せられたら、やっぱりやめておこうかとなる。
 教員不足解消のためにも先生のウェルビーイングは重要だ。