学校説明会の演出について考えてみよう。
 学校が行う活動に演出という言葉はそぐわないかもしれないが、先生方普段の授業だってちょっとした演出めいたことをやっているだろう。そのレベルの話だ。

 私の持論、などと言うと偉そうだが、基本的な考え方を述べておこう。

 1説明会は教育活動ではない
 2説明会は理性より感性に訴えるべきだ

 いろいろあるが最も重要なのはこの二つだ。
 これらについては過去に何度も書いている。
 たくさんあり過ぎて自分でも探すのが面倒なくらいだ。
 代表的な記事はこれだろう。
 旧ブログの時代だ。
 
 学校説明会、説明は忘れるが印象は「お持ち帰り」(2017年8月5日)

 まず、説明会は教育活動ではないという点について改めて説明しよう。
 先生が学校で行う業務を「教育活動」と「非教育活動」に分けてみる。
 直接間接に生徒と関わる業務は「教育活動」である。
 その中心が授業であるのは言うまでもない。

 一方、生徒に直接関わらない業務は「非教育活動」である。
 学校用語で「雑務」と言われるものはここに分類される。

 さて、それでは募集広報に関わる業務はどちらに分類されるか。
 私の考えでは「非教育活動」である。

 「教育活動」と「非教育活動」の違いはどこにあるか。
 「ここまで」と限界を決められない、あるいは決めにくいのが「教育活動」であり、「ここまで」と限界を決めることが可能であり、そうした方がいいのが「非教育活動」である。
 このように考える。

 いや、そうじゃないと考える方もいるだろう。
 が、ここは議論の場ではないので、私個人の考えを一方的に述べさせてもらう。

 続ける。

 「教育活動」は合理化にはなじまないが、「非教育活動」は合理化を追求すべきである。
 ここでは「非教育活動」を生徒募集及びそのための広報活動に限定して述べるが、これらは合理化を追求していい。
 
 どちらも真剣にやり出したらキリがないわけだが、「教育活動」にはキリを設けたくない。設けたとしてもキリはできるだけ遠いところにあったほうがいい。
 そのためには「非教育活動」の方は、適切なところに限界を設け、それにより浮いた時間を「教育活動」に振り向けたほうがいい。
 その方が生徒満足を実現できるし、生徒の成長も促される。そして、そのことが回り回って生徒募集にも好結果をもたらす。

 多くの学校は今、学校案内パンフレットやポスターを制作中だろう。
 今日私は、某私立学校のパンフレットを納品してきた。
 新年度になって、すでに賞味期限切れとなった前年度版を配るのは、受験生・保護者に対し、あまりにも失礼だろう。廃棄物を受け取る側の気持ちになってみろ。
 だから、一刻も早く作る。

 おっと、話がそれた。
 学校によっては美術の先生が制作担当などというケースがあるだろう。公立高校あるあるというやつだ。まあ、グラフィックデザインを専門に学んできたというなら話は別だが、アートと商業デザインは別物だ。
 世の中にプロはいくらでもいるのだから、こういうのは外注したほうがいい。教育には疎くてもデザインの腕だけあればいいのだ。
 先生はうんうん唸ってデザイン・レイアウト・コピーを考える時間があったら、その時間を教材研究に当てたほうがいい。

 外注したくても金がない。
 
 そう来ると思った。

 だったら資金を調達する方法を考えたらいい。
 クラウドファンディングで集めるという手もあるぜ。
 実情にそぐわない規則があるのなら、それを変えればいい。

 私の仕事は、先生方が「生徒募集なんてどうでもいい」と考えるようになった瞬間、すべて失われるので、できるだけ熱心でいて欲しい。
 できれば金に糸目を付けないと言ってくれたら嬉しい。

 だが、体の隅っこに教員根性が未だ残っている私は、先生というのは優秀な広報マン・営業マンである前に、授業でメシが食える人間であるべきだという考えが捨てきれない。
 働き方改革の観点からも「費用対効果」「時間対効果」という発想を取り入れたほうがいい。私が言う合理化とはそのような意味だ。

 理性より感性の話をする時間がなくなった。
 興味のある方は冒頭紹介した記事をお読みいただきたい。