埼玉県教育委員会は4月26日午前、令和5年度(2023年度)公立高校の入試の実施状況(平均点含む)を発表した。
 連休の直前に発表されることが多いが、今年はやや早めだ。

 詳細データはこちらから。
令和5年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施状況について

 様々なデータがまとめられているが、今回は平均点(受検者平均)に注目してみよう。
 カッコ内は前年である。

◆英語・国語下がり、数学・社会・理科は上がる

 ▽国語 57.1点(62.9点)前年比マイナス5.8点
 ▽社会 64.1点(52.9点)前年比プラス11.2点
 ▽数学 55.8点(48.0点)前年比プラス7.8点
 ▽理科 58.2点(52.5点)前年比プラス5.7点
 ▽英語 45.8点(52.6点)前年比マイナス6.8点

 ▼数学(学校選択) 50.5点(42.6点)前年比プラス7.9点
 ▼英語(学校選択) 56.7点(58.3点)前年比マイナス1.6点

 国語は2年連続の下落で50点台に下がった。
 社会は前年度10点近く下がったが、今度は10点以上の上昇。
 数学は学力検査問題・学校選択問題共に約8点の上昇で50点台に復帰した。
 理科は約6点の上昇。
 英語は学校選択問題はやや下がったが前年度並み。学力検査問題は約7点の下落。

 4年度はほぼ全教科が前年を下回ったが、5年度は国語、英語が下がり、数学・社会・理科が上がった。
  
◆過去4年間との比較
 以下は過去4年間との比較である。
 上から順に2023年度(今回)、2022年度、2021年度、2020年度。2019年度。

 ▽国語
     57.1点
     62.9点
     68.7点
     57.2点
     58.3点
 2年連続で5.8点の下落で、3年前の57.2点とほぼ同じとなった。

 ▽社会
     64.1点
     52.9点
     62.6点
     55.4点
     60.3点
 今回もっとも上昇幅が大きく、5教科中最高点。
 1年おきに50点台と60点台を繰り返している。

 ▽数学
     55.8点
     48.0点
     62.2点
     67.9点
     42.3点
 40点台は脱したが、2年前の60点台までは届かなかった。

 ▽理科
     58.2点
     52.5点
     56.2点
     51.1点
     44.5点
 理科としては、ここ5年間で最高。

 ▽英語
     45.8点
     52.6点
     51.4点
     52.2点
     47.7点
 4年度はただ一つ上がった教科だったが、今回は一転し唯一の40点台で5教科中最低。

 ▼数学(学校選択)
          50.5点
          42.6点
          56.0点
          55.2点
          53.5点
 大幅上昇でぎりぎり50点台に乗せた。

 ▼英語(学校選択)
          56.7点           
          58.3点
          61.6点
          58.9点
          64.3点
 2年連続の下落だが下がり幅は僅かで50点台後半を維持。

 ◆過去10年間、高平均点ランキング
 今年を含む10年間で平均点が高かった教科は次のとおりである。
 1 71.9点 英語(29年度学校選択)
 2 68.7点 国語(令和3年度)
 3 67.9点 数学(令和2年度)
 4 64.3点 英語(31年度学校選択)
 5 64.1点 社会(令和5年度)【今回】
 6 64.0点 国語(26年度)
 7 63.7点 社会(28年度)
 8 62.9点 国語(令和4年度)  
10 62.6点 社会(令和3年度)
11 62.2点 数学(令和3年度)
12 61.6点 英語(令和3年度学校選択)

 今回社会の64.1点は過去10年を見ても、かなりの高得点だったことが分かる。

◆予想された平均点上昇
 令和2年度(2020年度)、令和3年度(2021年度)の2年間は、数学(学力検査)の60点台に象徴されるように、全体として易化の傾向が見られた。
 が、令和4年度(2022年度)は修正が図られたのか数学を中心にかなりの難化傾向が見られた。
 こうした流れから、今回令和5年度(2023年度)は易化の方向に向かうのではと予想された方も多いだろう。
 結果、理科の45.8点は例外としても、だいたい予想の範囲に収まったと言えるだろう。
 
 4年度は最高の国語と最低の数学(学校選択)との間に20.3点の開きがあったが、今回5年度も最高の社会と最低の英語(学力検査)との間に18.3点の開きがあった。なかなか難しいところではあるが10~15点程度の差に収まれば理想的だろう。
 
 今後、県の方から度数分布、標準偏差や小問ごと正答率(通過率)などの発表があるので、それを見れば、今回5年度の傾向がより鮮明に見えてくるだろう。
 取り急ぎ、平均点のみの報告である。