ゴールデンウィーク中に金の話をするのもなんだかなとは思う。
 が、まあいいか。どうせこの期間、読者はガクンと減るのだ。

 さて、皆さんは給与と給料の違いについて考えたことがあるだろうか。
 あるいは基本給と手当の違いについて。

 こういうのしっかり研究している人がいるのは知っている。
 なにせ先生方はいろいろ調べたり研究したりするのが好きだから。

 でも、ほとんど無頓着という人もいるだろうから、そういう人のために書く。

◆給与と給料の違い
 まず給与と給料についてだ。
 言葉としてよく使われるのは給料の方だろう。
 「ああ、給料日が待ち遠しい」
 「うちの会社、給料安いんだよ」
 こんな感じ。

 給与と給料の関係は次のように表される。
 給与=給料+各種手当
 一般に、時給や月給の基準額である基本給と給料は同義とされているから、給料は基本給と置き換えられる。
 つまり、
 給与=基本給+各種手当

 あと、賃金という言葉もあるが、実質的には給与と同じと考えていい。

◆基本給と手当
 大事なのはここからだ。
 
 私が基本給の重要性を身に染みて感じたのは、民間企業に転職した時だ。
 給与は教員時代と変わらなかった。
 そういう条件で就職したからだ。
 が、給与の構成が異なっていた。
 基本給の部分が大幅にダウンし、手当の部分が増えて給与全体は変わらずというものだった。
 古い話でうろ覚えだが、営業手当、役職手当、○○手当などいろいろ付いていたと思う。
 
 私はその後、もう1回転職するわけだが、その時も同じだった。

 基本給というのは基本というくらいだから、すべての基本になるわけだ。
 たとえば賞与(ボーナス)は基本給の何か月分だし、退職金も基本給の何か月分。
 残業手当など諸手当の計算も基本給がベースになることが多い。

 もちろん経済学部出身の社会科教諭だったから、そういう知識がまったく無いわけではないが、雇われて給与をもらう立場の弱さだ。

 その後私は独立起業し、今度は給与を支払う側に立った。
 そして何と、同じことをやった。
 基本給はできるだけ低く抑え、手当でカバーする。
 基本給は一度上げたら簡単には下げられない。
 使用者が一方的に下げられない。
 なぜなら法律的にそうなっているからだ。

 結論。
 雇われるなら基本給の高い会社がいい。
 人を雇うなら基本給を低く抑えた方がいい。

◆働き方改革の裏にあるもの
 さてと、ここまででお分かりだろうが、使用者(給与負担者)で基本給をできるだけ高くしようなどと考える人はいないのだ。

 私立ならば学校法人、公立ならば都道府県と国が使用者(給与負担者)となるわけだが、基本給はできるだけ低く抑えたいと考えるだろう。
 手当もできることなら種類を減らし、金額を抑えたい。

 教員の働き方改革が言われ始めてから何年も経過したが、先生の心身の問題など実はあまり考えられていない。
 これは給与の問題なのだ。
 人数をできるだけ抑え、基本給もできるだけ抑え、もって給与総額を抑える。
 
 マスコミを取り込んで残業手当にスポットを当てているところが怪しい。
 同じく部活指導をことさら問題視するところも怪しい。
 実はそれほどでもない些末な問題を大きく扱い、それによってもっと重大な問題を覆い隠す手法は、これまでも幾度となく使われてきた。
 改革、改革と言いながら、結局大事なところは何も変わらなかったということにならないように注意しなければならない。