最近興味を持って読んだ記事をご紹介。

 日本の女子大初、注目の「奈良女子大学工学部」開設2年目の手応えと課題 女子を引きつけた「人と社会のため」という視点(東洋経済education×ict)

 女子人気がイマイチ、と言うより全然ない工学部を国立大学が設置したという話。
 開設2年だが、応募状況はまずまずのようだ。
 まだ卒業生がでておらず、就職がどうなるかは分からない。
 だが、今まで男性社会と言われていたさまざまな領域に女性が進出している時代であるから、良い結果を得られるのではないか。

 今までの工学部との違いの一つは、入学時点では専門が固定されていないことだ。
 創造的なエンジニアを育成するため、リベラルアーツとSTEAMを柱とした教育を行い、3年生の段階である程度専門を決めて行く方針だ。

 リベラルアーツは、簡単に言えば一般教養ということになろうが、「一般教養が知識の修得が目的であるのに対し、リベラルアーツは答えのない問題に対応するため知識の活かし方を習得する。つまり学問と言うよりスキルである」とchat-gpt先生は教えてくれた。
 STEAMは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Arts)、数学(Mathematics)の頭文字をとったもので、理数教育に創造性教育を加えた教育理念である。探求が求められている時代、こうした横断的な学びが学校教育の新しい柱になるだろうということで、すでに取り入れている中学高校も多い。

 「人と社会のための工学」を掲げたのも良かった。
 むろん、元々工学は人と社会のためのものであるが、記事にもあるように、こうした新たな視点を提示したことが女子人気につながったと思われる。

 理系女子の進学先は、医療看護、薬学から生命科学、地球環境など、徐々に広がりを見せているが、ここにエンジニアリングが加わるのは喜ばしいことだ。
 女性エンジニアなんてニーズあるの?
 と思われる方もいると思う。
 私もどちらかというと、そちらに近かったが、世界最大手の工作機械メーカーであるDMG森精機とも提携しているようだし、ソニーや住友電工なども加わっているところをみると、将来性は期待されているようだ。

 こうした動きが共学工学部にも広がって行ってほしい。

 この話は大学のものだが、工業高校にとっても参考になる点はあるだろう。
 「女子には人気がないんですよね」と言うが、はたして本気で女子を取りに行っているか。
 女性エンジニアのカッコよさや将来性をアピールしているか。
 
 そうは言っても、現実の世の中は、実際の企業は、と言うなかれ。
 将来はともかく、さしあたり世の中を変える力は大人にしかないのだ。

 奈良女子大学ホームページ